日本の宗教のいろは

花まつりについて

 北見もすっかり春が近づき、ゴールデンウィークの季節になりました。仏教行事としては「花まつり」の季節であります。皆様も一度は見たり聞いたりしたことがあると思いますが、この「花まつり」についてお話をいたします。
毎年、四月八日がお釈迦様の誕生日として全国各地で、地域の仏教会等が中心となってそのお祝いをしています。そのことを「花まつり」と呼んでいます。たくさんの花で彩られた小さいお堂「花御堂(はなみどう)」の中にお釈迦様の生まれたばかりのお姿を安置して甘茶を注いでおまいりすることからそのように呼ばれているのです。花御堂は生まれた場所、そして甘茶をかけるのは、生まれたときに天を舞う竜からお釈迦様に清らかな甘い水(香水)が注がれたという伝説から由来しているようです。
この花御堂の中にまつられているお釈迦様は、立ち上がった姿で右手は天を、左手は地を指していて、お釈迦様が生まれてすぐに「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言われた姿を現しているのです。この意味は、「天を見ても地を見ても自分より偉いひとはいない」とい傲慢(ごうまん)な考えではなくて、世の中にはたくさんの人たちがおられますが、一人一人がとても尊い存在で上を見ても下を見てもその人に代わる人はいないというような意味であると思います。また、自分自身が大切であることと同様にいつでもどこでも生きるものすべてに対して同様の心を持つことの大切さも教えてくれていると思います。
また、お釈迦様の母であるマーヤ夫人は白い象が体内に入る夢を見てお釈迦様を身ごもられたと伝えられ、お釈迦様はマーヤ夫人が出産のため里帰りの途中に立ち寄ったインドのルンビニーの花園でお釈迦様は生まれたと言われています。そのことから大きな白い象が「花まつり」のシンボルの一つであり、かわいらしい子どもたちがそれを引っ張って歩く「白象行進」も欠かせない行事になっているところが多く見られます。つづく
グラコム2013年4月号掲載

  2013/03/25   gracom
≪ 日本の仏教に関係の深い人物③  |  日本の仏教に関係の深い人物④ ≫