日本の宗教のいろは

浄土真宗について③

前回は「教行信証(きょうぎょうしんしょう)」について少しお話ししましたが、第二巻の「行巻」に門徒の方々にはなじみ深い「正信偈(しょうしんげ)」が記されています。正信偈は偈文(げぶん)と言われる漢文のうたであり、百二十句からなっています。そして浄土真宗の真髄が端的に述べられていると共に、この教えがインド・中国・日本の七人の高僧によって伝えられたことを記しています。
内容について簡単にご説明しますと
最初の二句は「帰命無量寿如来」「南無不可思議光」であり、阿弥陀仏とその智慧のはたらきに帰依(きえ)することを言っています。(※阿弥陀仏を心から信じ拠りどころとしてその教えを聞き生きていくこと。)
その後は二つに大きく分かれ、「依経段(えきょうだん)」と呼ばれる、第三句の「法蔵菩薩因位時」からの四十二句。その後は「依釈段(えしゃくだん)」と呼ばれる四十五句目の「印度西天之論家」から最後までの七十六句です。
「依経段」は、「仏説無量寿経」に沿って、阿弥陀仏の本願の由来と釈尊が「仏説無量寿経」を説かれた意味が述べられています。仏説無量寿経は、教行信証の「教巻」に「それ、真実の教(きょう)を顕(あらわ)さば、すなわち大無量寿経(仏説無量寿経のこと)これなり」とあることからもわかるとおり、浄土真宗の教えの中心をなす経典だと親鸞聖人は伝えています。
「依釈段」は、七人の高僧による本願の教えの解釈が述べられています。七人の高僧とは以前に説明したインドの僧の龍樹(りゅうじゅ)・天親(てんじん)の二人、中国の僧、曇鸞(どんらん)・導綽(どうしゃ)・善導(ぜんどう)の三人、日本の僧である源信(げんしん)・源空(げんくう)のことです。つづく
グラコム2010年8月号掲載

  2010/07/26   gracom
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