日本の宗教のいろは

浄土真宗について②

今回は親鸞聖人の著した「教行信証(きょうぎょうしんしょう)」についてお話をします。正式には、「顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)」という名前で、浄土真宗の立教開宗の書と言えるものです。
この著書は、釈尊をはじめとして僧たちによってインド・中国・日本と伝わってきた教えが記された著書から親鸞が信じる部分を抜き出して体系的に配列し、自身が信じる教えの正しいことを確認するためのものだと言われ、「教」「行」「信」「証」「真仏土(しんぶつど)」「化身土(けしんど)」の六巻で構成されています。それぞれの内容をほんとうに簡単に表現すれば以下のようになるのではないかと思います。
【一・教巻】…阿弥陀仏の本願によって救われる教え
【二・行巻】…名号(南無阿弥陀仏)の力で仏になれる
【三・信巻】…名号は信じなければ救われない
【四・証巻】…名号を信ずれば浄土に生まれる
【五・真仏土巻】…真実の世界を明らかにする
【六・化身土巻】…方便の教えと真実の教え
そして、「教巻」の中で浄土真宗の教えの核心が示されています。
「つつしんで浄土真宗を案ずるに二種の回向(えこう)あり。一つには往相(おうそう)。二つには還相(げんそう)なり。往相の回向について真実の教行信証あり。」
回向とは阿弥陀如来が人々に救いの手を差し伸べてお浄土に迎えることであり、往相回向とは阿弥陀如来の本願を信じて念仏することで如来の力でお浄土へ往生することであり、還相回向とは、お浄土に生まれ仏になった後にふたたびこの世に戻り迷える人々を救うこと。どちらも阿弥陀如来の本願によるものであり、絶対他力にもとづいた考え方です。そして、いかにしてお浄土に生まれることができるのかを解き明かしているのが教行信証であると述べています。つづく
グラコム2010年6月号掲載

  2010/05/25   gracom
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