日本の宗教のいろは

神道の教えと歴史について①

神道は、自然を象徴する神々と日本人の先祖をまつる日本固有の宗教であり、日本は神道と仏教の両輪により、非常に豊かな宗教土壌をつくりあげてきました。多くの家庭では神棚と仏壇の両方をまつりますが、これは日本の宗教の伝統をそのまま反映したものといえるでしょう。神棚をおまつりすることには太陽や海、山、川をまつり、自然の恵みに感謝することであり、神話の時代から続く日本人の歴史と祖先に感謝することとも言えるでしょう。神道は仏教の釈迦やキリスト教のイエスのような創始者がいるわけではなく、仏像のように念仏の対象を作ることもありませんでした。 そうした中で神道がご神体としてきた代表的なものは木や石、川や山であります。(例をあげると、浅間神社のご神体は元来富士山であり、熊野那智大社は那智の滝をご神体としています。)つまり神道では、自然そのものが祈りの対象であり、自然の中に神を感じるものでありました。朝日に向かって拍手(かしわで)を打つ、山の霊気に触れて神に祈る、川に入って身を清める。という行いが神道の祈りということになります。また、ご神体が恒常的におまつりされるようになったのは祖霊のまつりが行われるようになってからであります。 神道が神殿を持ちご神体をその中におまつりするようになったのは仏教の影響であるといわれています。その神社祭祀のなかでも特に重要とされているのが鏡・剣・曲玉(まがたま)の三つです。「鏡」は物を映すことから神秘性の高いものとされ、太陽の象徴でもあり、邪悪なものを跳ね返す神器であり、邪を払う役目も担っています。「曲玉」は玉が魂と同音同義であることから、命を象徴するものとされています。また、曲玉の湾曲は人の心臓をかたちどっているとも言われています。
グラコム2004年10月号掲載

  2004/10/01   M I
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