お香の歴史についてはお話をしましたが、今回はお香の原料やその種類等についてのお話をいたします。
お香の原料となる香料には、大きく分けて3つの分類があります。香木・草根木皮の香料・動物性の香料であります。香木とは、伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)など、草根木皮の香料には、桂皮(けいひ)・丁子(ちょうじ)・大茴香(だいういきょう)・安息香(あんそくこう)・竜脳(りゅうのう)・乳香(にゅうこう)等があります。また、動物性の香料では、竜涎香(りゅぜんこう)(マッコウクジラより採れる)・麝香(じゃこう)(チベット高原に生息するジャコウ鹿より採れる)・貝香(かいこう)等がありますが、現在は、動物保護の観点から竜涎香・麝香はほとんど使いません。
お香と一口に言っても様々な種類があります。もっとも良く知られ、お香の消費量の90%以上を占めているのがお線香です。
お線香は基材として椨(たぶ)の木の皮が使われます。その他に香料としてあげた材料を混ぜて作ります。その時に難しいのは、原料の配合比率や水分量の微妙な加減によって曲がったり、点火してもすぐに消えてしまったり、折れやすかったりすることです。粉末の材料を練り込み、形をつくり乾燥させて仕上げます。お線香を箱から取り出すときには注意しないと折れてしまいますよね。製作にはたいへん神経をつかい熟練の技術を要します。
その他に焼香(しょうこう)、いろいろな香料を小さく刻んだもの)。(お通夜で焼香といえばこれを用います。)塗香(ずこう)、もっとも粒子の細かいお香です。清め香とも言われます。抹香(まっこう)、細かい粉末のお香で古くは仏塔や仏像などに散布していました。そのほかに練香、印香、匂い袋等様々な種類があります。
お香には十の徳があるといわれています。忙しい現代の生活の中で、お香の香りでちょっと『ひといき』してみてはいかがですか。
グラコム2005年9月号掲載