日本の宗教のいろは

盆提灯のお話

8月といえば北見地域は、ほとんどがお盆の季節です。ご存知の通り、お盆や『盂蘭盆会(うらぼんえ)』といい十三日から十六日までの期間を指します。北海道ではあまり見られませんが、お盆には、十三日の夕方までにお墓参りや仏壇の掃除をし、精霊棚を作ってお供え物をあげます。迎え火をして、僧侶に棚経を上げてもらいます。精霊はきゅうりの馬でやってきて、なすの牛に乗って帰ると言い伝えられているようです。そして十六日には送り火を焚き精霊を送り出す。という行事の中で、盆提灯は「故人の霊が道に迷わないように灯す」といういわれがあり、ご親戚や縁者がこれを贈るという習慣があります。今回は、その盆提灯について簡単に触れてみたいと思います。
盆提灯に限らず、提灯については、書物の記載でもっとも古いとされるものは、応徳二(一〇八五)年と言われています。高級であったため、江戸時代以前は上層階級にのみ使われていました。庶民に一般的に使われるようになったのは、ローソクが普及し始めた江戸時代以降のようです。
また、江戸時代中期から、お盆に提灯が用いられるようになったようです。
さて、盆提灯の産地で有名なところは、岐阜県と福岡県八女市です。それぞれ、岐阜提灯・八女提灯と言われています。岐阜は昔から良質の和紙と竹の産地として知られており(美濃の国)、そのことから提灯が作られるようになったようです。岐阜提灯は十六世紀頃に始まり、江戸時代には徳川家に献上したことや、明治天皇に岐阜の主要産品のひとつとして目にとまったことから全国的に有名になりました。また、八女提灯は、文化十三(一八一三)年頃に始まったと伝えられています。生産量が多く、広く世界にも出荷されています。
盆提灯の形にはたくさんありますが、吊り下げる形の御所提灯・御殿丸・住吉等、また置く形として大内行灯(あんどん)・開店行灯等があります。それぞれの形で家紋を入れた提灯があります。これは「故人の霊が迷わずその家に帰ってこられる」ようにと言う事で、盆提灯として使われ始めたころに、迎え火として用いられていました。
グラコム2005年8月号掲載

  2005/07/27   M I
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