日本の宗教のいろは

神道について⑤

今回は神事(しんじ)芸能について簡単にお話をいたします。
神事芸能とは、神社等で神に奉納される芸能の総称です。わが国の伝統芸能のルーツをたどると神事に由来するものが多く、お祭りの際に行われていたものが伝統芸能として発達していったと言えるのではないでしょうか。
その中でも神楽(かぐら)は有名なものの一つです。語源は「神座(かみくら、かむくら)」から転じたという説が一般的で、神座とは「神の宿るところ」という意味で、そこを中心に厄を払ったり、神からの言葉を伝えたり、神に願いを伝えたりする宴を催し、歌ったり、舞ったりすることを神楽と呼ぶようになったようです。宮中においてなされた神楽を「御神楽(みかぐら)」と言い、現在も宮中の賢所(かしこどころ)にて十二月に毎年開催されています。一方、民間で発達したものを「里神楽(さとかぐら)」といい、里神楽は巫女神楽、出雲流神楽、伊勢流神楽、獅子神楽(獅子舞の一種です。)等があり、皆様がよくご存じなのは獅子舞ではないでしょうか。獅子舞は全国各地で様々に発達し、同じものが二つとないとも言われています。
踊りと音楽で構成される「舞楽(ぶがく)」もその一つです。その音楽は雅楽(ががく)と称され、日本古来の「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」(※音楽だけでなく舞も含めて広い意味で雅楽に含めています。)や大陸伝来の「唐楽(とうがく)」、朝鮮半島伝来の「高麗楽(こまがく)」等があります。「国風歌舞」には東遊(あずまあそび)、倭舞(やまとまい)等様々な種類があります。また、唐楽は「左方舞(さほうまい)」、高麗楽は「右方舞(うほうまい)」と呼ばれています。また、大陸からは軽業、物まね、曲芸などを中心とした散楽(さんがく)という芸能も日本にもたらされ、のちに猿楽(さるがく)・田楽(でんがく)(※田植えの前に豊作を祈る田遊びから発達したとも言われています。)・能楽(のうがく)(※能・式三番・狂言の三つの分野に分けられます。)へと発展していきまた。その他にも様々な各時代の芸能の多くが神事芸能として現在も各地に伝承されています。つづく
グラコム2009年2月号掲載

  2009/01/26   gracom
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