今回はご神体などについてお話をいたします。
神道において一番大切であるといわれることが神をまつることです。とお話をしましたが、その神とは何でしょうか。以前のおさらいをすると、神は人間の目で見ることが出来ないものだと古代の日本人は考えていました。そして、その神々は特定のものに依(よ)りつくとも考えていて、それを媒体として神を感じようとしていました。その依代(よりしろ)がご神体と呼ばれるものであります。古代の日本人がご神体とした代表的なものは木や石、川や山でした。例をあげると浅間大社のご神体は富士山であり、熊野那智大社では那智の滝がご神体であり、現在もそのままです。
その後、仏教の影響を受け神道が社殿を持つようになり、広くご神体がその本殿の中に恒常的におまつりされるようになりました。鏡・剣・曲玉(まがたま)などをご神体としておまつりしているところも多く、三種の神器「天孫降臨(※)の際に、アマテラスがニニギに授けたものを指し、八咫鏡(ヤタノカガミ)・八坂瓊曲玉(ヤサカニノマガタマ)・天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)の三つです。」このうち、八咫鏡は伊勢神宮、天叢雲剣は熱田神社のご神体となっています。
多くの神社が社殿をもつようになった現在、ほとんどが入り口とも言える鳥居(とりい)から参道を通って拝殿、本殿に至るようなつくりになっています。鳥居は神社の門で、この先は神が降臨される神聖な場所であり、徒歩でくぐるのがならわし。くぐるときは境内に入るときも出るときも神に敬意を表して一礼することが望ましいとされています。本殿は、神聖な場でご神体をまつる場所。また、参拝やお祓いをする拝殿は本殿の前に位置し、拝殿の前には賽銭箱(さいせんばこ)が備えてあります。また、狛犬(こまいぬ)をよく見かけると思いますが、平安時代以降に置かれるようになり、魔除け、神社守護の役割を担っています。 ※天孫降臨(てんそんこうりん)…天上の国を治めていたアマテラスが孫にあたるニニギノミコトに地上の国「葦原中国(あしはらのなかつくに)」つまりは、日本を治めるために地上に遣わしたことをいう。つづく
グラコム2008年11月号掲載