日本の宗教のいろは

神道について①

今回からは神道について、様々な角度から見てみたいと思います。
神道は日本古来の宗教であると言えますが、仏教の伝来以前は、無意識的なものであり、慣習であったり、習俗(しゅうぞく)「※地域や社会で昔から伝わっている風俗や習慣のこと」であったりして、「神道」という宗教は確立されていなかったようです。どういう事かというと、仏教が伝来した時、蘇我氏は仏教肯定派。物部氏は仏教否定派。というように意見が分かれ、そのような意見対立の中で、古くからの日本の神についての考え方はこうだというように、神道の思想がまとめられたようです。また、「神道」という言葉が最初に歴史的文献に出てきたのが「日本書紀」であることからも推察できるのではないでしょうか。つまり、仏教という宗教が日本に伝わったことにより、「神道」という宗教が確立したと言えるでしょう。
その神道確立の一因となった仏教はキリスト教、イスラム教と共に世界宗教といわれ、民族の枠を超えて「現実世界を超越した普遍的な価値を求める」宗教です。しかしながら、神道は日本人古来の、つまり日本民族の宗教であり、仏教のような世界宗教ではなく民俗宗教と言えます。つまり「現実社会を中心としてその民族のための(その民族に利益をもたらす)宗教」なのです。
さて神道は、三つに分類されることが多く見られます。神道において一番大切であるといわれることが「祭祀(さいし)」です。言い換えれば、神をまつることです。そのことからも一つめは、各地の神社とそこにまつられている神を中心とする神道であり、一般的に「神社神道」と言われています。二つめは、黒住教や天理教、金光教などの神道で「教派神道」と言い、明治政府に公認されたものが前述の教派を含め十三ありましたので、「教派神道十三派」と言われていました。三つめは、神社神道と深く関わりを持ちながらも日々の生活の中で伝えられてきた習俗、年中行事、人生儀礼のようなものを総称して「民族神道」と言われる分類があります。つづく
グラコム2008年10月号掲載

  2008/09/25   gracom
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