日本の宗教のいろは

仏教について④

今回は、大きな三つの分類の三つ目は「自力(じりき)」と「他力(たりき)」についてお話をいたします。
仏教は「仏陀の教え」であり「仏陀になるための教え」であるということをお話しましたが、「自力」というのは読んで字のごとく、自分自身の力によって仏になろうとする教えであり、たいへんな修行を積んで仏になろうとする教えであります。しかしながらそれは大変厳しい修行「難行(なんぎょう)」であり、なかなか普通の人が悟りを開いて仏となることが難しい道です。そこで、その後に考えられたのがもっと易しい修行「易行(いぎょう)」で仏になるための考え方で「他力」という教えです。わたしたちの自力には限界があるため誰もが仏になれるよう仏の力を借りようという考えです。
もうすこし詳しくお話しすると「自力」の教えでは「禅」がその代表であります。誰もが持つ人間の内面にある「仏になろうとする力」を、坐禅を基本とした修行を通じて見つめ直し、悟りを得ようとする考えです。
坐禅は達磨大師がその教えを広めたということは有名ですが、それ以前にもたくさんの諸仏がそのことにより悟りを開いてきたといわれていることから、禅の基本的な修行として坐禅が取り入れられているといわれています。
反面「他力」の教えでは「阿弥陀如来の本願」(簡単に言うと「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱えて信じることにより亡くなった後、極楽浄土に生まれることができるという阿弥陀如来の願いのこと)をひたすら信じ、念仏(南無阿弥陀仏と唱えること)することにより、その本願によって救われようとする教えであります。これを「他力本願(たりきほんがん)」といいます。「他力本願」というと、日常ではすべて他人任せにするというように誤解されがちですが、そういう意味ではないことを覚えていただければ幸いです。つづく
グラコム2008年9月号掲載

  2008/08/25   gracom
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