日本の宗教のいろは

お仏壇について④

お仏壇のことについての四回目です。
今回は、ご家庭の仏壇で使用する音の出る主な仏具を三つ、どの宗派でも使用する鈴(りん)と一部の宗派で使用する木魚(もくぎょ)、そして日蓮宗のみで使用する木鉦(もくしょう)について紹介をいたします。その他に日蓮宗では団扇太鼓(せんすたいこ)も音の出る仏具としておもに唱題の時に使います。
最初は鈴についてですが、一般には「仏前で読経の時に打ち鳴らす鉢形の鳴器」と言われ、現在は在家(ざいけ)つまり、一般家庭でおまいりをする際に使われています。どの宗派でも使用する仏具であります。「りん」というのは、「鈴」の音読みの一つで、唐音(とうおん)と呼ばれ、鎌倉時代以降に日本にもたらされた読み方です。つまり、そのころに日本に開かれた禅宗(このあたりでは曹洞宗ですね)と呼ばれる宗派で用いたのがはじまりだと言われています。寺院では、「りん」の大きなものとして
子(きんす)と呼ばれるものを使っています。最近では、家庭で使うことを限定として、様々な種類や形、大きさのものができています。
次に、木魚ですが禅宗特有のものである魚鼓(ぎょこ)から変形し、発達したものと言われています。(魚鼓とは魚の形をした木の板であり腹のあたりを叩き、人を集める合図として使われていたようです。)木魚は曹洞宗・浄土宗等(真言宗でも使うことがあります。)で使われます。形は木製球形の肉を削り、魚の鱗(うろこ)をかたどった彫刻をしたものです。読経や唱題などの調子をとるためにふとんの上に置き、先端に布や皮を巻いたバチでたたいて使います。材料には、粘りがあって柔らかく、仕上がりが良くて割れにくい楠(くす)がよく使われています。
最後に木鉦ですが、日蓮宗で使うもので、読経、唱題の拍子を調えるために用います。形は一般的に円形で響きをよくするために中央部が内側からえぐられていて表面上部の凸部をバチでたたいて使います。起源は意外に浅く、明治以降になってからと言われています。もともとは金属製で似た形状の伏鉦(ふせがね)と言うものを木製で作ったもので、木魚の柔らかい音色とは異なり明るく歯切れが良いという特徴があります。つづく
グラコム2008年2月号掲載

  2008/01/25   gracom
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