お正月は新しい年を祝うまつりごとの一つだとの意味もあるかと思いますが、日本にはご先祖様や神様をお迎えしてご供養する宗教的な意味もあります。多くの方々は神社に初詣に行き、また菩提寺におまいりに行き、一年の幸せや様々な願いごとをしたり、ご先祖様に感謝の気持ちを表したりしているのではないでしょうか。現在も続いているお正月の行事や飾り物にもそのような意味合いが多く含まれています。今回はその中から何点かお話しいたします。
お正月に食べる料理の代表は、おせちとお雑煮ですね。おせちは「御節料供(おせちく)」の略で、節日(せちにち「季節の節目の日をいい、端午の節句などを言う」)に供えた料理のことでした。それが現在では、お正月のおせちとしてのみ残っているのです。また、お雑煮は、大晦日にお供えした料理をおろし、お正月に汁ものとして煮て食べるというものが由来であり、どちらの料理も、家族が集い、神様(ご先祖様)と一緒に食事をするという意味を持ち、両側が細く丸い柳箸(やなぎばし)を使います。これは一方で神様(ご先祖様)が食べられるという意味があるのです。
飾り物としては門松、注連縄(しめなわ)、鏡餅などが有名ですね。門松は、門前に松を立てた飾り物で中国の風習にならったものです。歳神様の依代(よりしろ)として、一年の栄えを祝うものとして現在に至っています。また、注連縄は、神前または神事の場に不浄なものの侵入を禁ずる印として張る縄。一般には、新年に門戸や神棚に張るものです。つまり、神の「なわばり」を示す印であり、天照大神が天の岩戸からお出になった後、岩戸に縄を張り再び中に入れないようにしたことに始まったものです。
鏡餅は、餅の丸い形が、昔の銅鏡が丸かったことに由来してついたものです。床の間飾りとして発達したことより、一般には三方の上に半紙を置き、餅やさまざまな飾り付けをしてお飾りしています。お仏壇に飾る場合には、お餅だけを重ねて一対飾ることが多いと思います。
お正月には様々な由来がありますが、新しい年を迎えて、皆様の周りの方々そしてご先祖様に感謝し、皆様方がすてきな年を過ごされることを念願いたします。 つづく
グラコム2008年1月号掲載