お仏壇のことについての三回目です。
今回は、お仏壇の中にお飾りする仏具の中で、どの宗派にも使用するものについて書いてみます。宗派によってお仏壇の中に飾る仏具の種類や形、そして飾り方等はそれぞれ異なりますが、どの宗派にも使われるものがあります。それは、「香炉(こうろ)・花立て(はなたて)・火立て(ひたて)・りん・仏飯器(ぶっぱんき)」です。まずは、「香炉・花立て・火立て」の三つでありますが、聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、これらを合わせて「三具足(みつぐそく)」と言います。
香炉ではお香を焚きます。お線香だったり、焼香だったりします。「香は信心を運ぶ使い」とも言われ、香を焚くことは心を浄め、御仏(みほとけ)や亡きご先祖に自分の真心をささげて供養するものであり、よりよい香りのものを用いることが大切だと言われます。
花立てにはもちろんお花を飾りますが、私たちはお花を見ることで心が和むものです。「御仏の慈悲の象徴」と言われ、御仏が姿を変え慈悲の心を説いてくれると言われます。また「堪え忍ぶことの象徴」とも言われ、種の小さく目立たない存在が、水や養分によって来るべき時がきたら華やかに花を咲かせることや、自らは動かず耐えながら種を絶やさずに生きている姿などから、そのように言われています。
火立てにはろうそくを灯します。ろうそくは灯明(とうみょう)とも言われ、どんな暗闇でも照らす御仏の智慧(ちえ)を表し、その智慧がたくさんの煩悩に惑わされながら生きている私たちを導いてくれると言われています。
このように大切な三具足の他に、お経をあげるときに使われる「りん」があります。お経をあげるときの節目で鳴らし、息を整えお経を唱えます。一般に多くの方は、お経を唱えなくても「りん」を鳴らし、合掌してお仏壇におまいりしているのではないでしょうか。
最後に仏飯器でありますが、日本の食文化にも関係があると考えられていますが、私たちの主食であるご飯をのせてお供えするもので、どの宗派でも必ずお供えします。
前述したものはすべての宗派に使用するもので、仏具の中で一番の基本となるものであります。ぜひ、おぼえておいてください。 つづく
グラコム2007年12月号掲載