日本の宗教のいろは

浄土真宗の教えについて②

浄土真宗の教えのつづきです。歎異抄(たんにしょう)に出てくる一説で、誰にでも良く知られている有名なものから親鸞聖人の教えをひも解いてみましょう。
親鸞聖人の説く浄土真宗の教えを的確に表現した有名な言葉に、「善人なおもって往生をとぐ、いわんや悪人をや…」(歎異抄 第三章)の一説があります。
『悪人』こそが救われるという【悪人正機】説です。どのようなことをお話しているのかご存知でしたか。
まず、ここでいう『悪人』とは、現在一般的にいわれている、法律や道徳に反する悪人ではなく、人間の持つ煩悩から自分の力ではどうしても抜け出すことができない一般大衆のことをいいます。
その意味は、善人ですら往生をとげるのです。まして、悪人はなおさらのことでしょう。自分で善行功徳を積んで往生しようと願う善人は、阿弥陀仏にすべてをおまかせしようとしていないので、阿弥陀仏の本願力におまかせするのであれば、真実の悟りの境地であるお浄土に往生させていただくことができるのです。また、たくさんの煩悩を持つ人間は、どんなに修行をしても生死の迷いから離れられないのです。
そのような人たちを憐れんで、助けようという願いをされたのが阿弥陀仏ですから、阿弥陀仏にすべてをお任せするのが浄土往生の正しい道であって、自力の善行に頼む善人よりも、本願に頼み、まかせきっている悪人こそが阿弥陀仏の心に叶うのです。それゆえ、善人ですら往生をとげるのですという表現になっていて、まして悪人はなおさらのことでしょうと、親鸞聖人は仰せになられた。と伝えられているのです。
ここでも、【絶対他力】が親鸞聖人の教えの根本であり、その教えが仏教をよりいっそう一般大衆中心の宗教として確立していったゆえんであります。
また、皆様もよくご存知の浄土真宗中興の祖といわれる本願寺八世の蓮如上人(れんにょしょうにん)は、仏前勤行(ぶつぜんごんぎょう)を「正信偈・和讃(しょうしんげ・わさん)」として、門徒全員の日課とし、自身は浄土真宗の教えを手紙という形で分かりやすく表現した『御文章(ごぶんしょう)もしくは御文(おふみ)』をまとめ、たくさんの一般大衆に浄土真宗という教えを広めたのです。
(筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩堤寺のご住職にお聞きください。素晴らしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2006年12月号掲載

  2006/11/25   gracom
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