今回は、日蓮宗の教えのつづきです。
前にお話した、最も基本となる教えと実践である「五義」と「三大秘法」のうち、今回は「三大秘法」についてお話しします。
末法の凡夫を救う唯一の教えは、本門寿量品(ほんもんじゅりょうほん)の教えに包含されている「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」の七文字であり、これを信仰するための規範として三大秘法を明らかにしたのです。その内容とは、三つの根本的法門で、一つは「本門(ほんもん)の本尊」であり、私たちが信仰の対象として仰ぐ尊いものであります。二つめは「本門の題目」で、「南無妙法蓮華経」のことです。また三つ目は「本門の戒壇(かいだん)」で題目を唱える私たちと仏とが出会う場のことです。
「本門の本尊」とは、久遠実成(くおんじつじょう)本師釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)のことで釈尊のことであります。その釈尊による法華経の救いの世界を表したものが大曼荼羅(だいまんだら)です。中央に南無妙法蓮華経と大書し、左右に釈迦牟尼仏をはじめとした諸仏・諸菩薩・諸善神等の名を記したものを言い、それを本尊の形式としています。
「本門の題目」とは、南無妙法蓮華経の七文字ことであり、この中には釈尊のすべての功徳(くどく)が内包されており、末法の凡夫を救う大切な教えであります。そして、凡夫である私たちがこの七文字を唱えることにより、法華経の教えに近づくことができるのです。
「本門の戒壇」とは、本尊に向かい題目を唱える場所のことを指しますが、日蓮聖人が理想としたことは、私たちの心の中にそれぞれの戒壇を確立し、すべての人々を救いたいということだったと考えられています。
(筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩提寺のご住職にお聞ください。素晴らしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2007年7月号掲載