今回は、日蓮宗の教えのつづきです。
前回お話した、最も基本となる教えと実践である「五義」と「三大秘法」のうち、今回は「五義」についてお話しします。
五義とは、法華経こそが末法に生を受けた私たちの救いのために説かれた経典であることを論証したものです。それは、仏の教えの中で最高のものは何かを知る「教」、人々の教えを受ける能力を考える「機」(機根=人間のありかた)、今の時代はどのような時代なのかを判断する「時」、その国の宗教的条件を考える「国」、仏教弘通(ぐつう)の歴史と現状を見て広まるべき教えを明らかにする「序」(教法流布の先後=順序)の五つの基準をもって真実の教えを選択するということです。
「教」…様々な宗教・思想等の中から、仏教が私たちの救いを示す宗教として一番であることを確かめ、八万四千もの経典があると言われている中で、法華経が最も優れていたこと。
「機」…当時、末法の世である日本の衆生は下根(げこん)(教えを受ける能力が劣っていること)であると言われていましたが、その時こそ法華経が説かれなければならないこと。
時」…法華経は末法にこそ、力を発揮するように説かれていて、「選ばれた時」であったこと。
「国」…古来より法華経はインドより東北にある国に縁が深く、仏教の伝わった経路から考えて、日本が最もふさわしかったこと。
「序」…仏教が説き広められてきた順序や歴史から考えて、当時の日本では法華経を広める状況にあったこと。
以上のことから日蓮聖人は法華経が仏の真実を言い表した唯一のものだと結論づけたのです。
そして、末法の世に法華経の教えを伝えるために釈尊から遣わされた大導師とされているのが、日蓮聖人であったと言うことです。
(筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩提寺のご住職にお聞ください。素晴らしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2007年6月号掲載