今回からは、日蓮宗(にちれんしゅう)の教えについてお話します。
日蓮宗は、日蓮聖人(にちれんしょうにん)を宗祖として、「法華経(ほけきょう)」が唯一成仏の法であると説かれた宗派であります。
簡単に言えば、久遠(くおん)の釈尊の教えを信じ、その救いを示す大曼荼羅(だいまんだら)の本尊に心から帰依し、私たちが、南無妙法蓮華経のお題目を唱えて、平和と幸福の実現に向かって精進し、成仏を願うことではないでしょうか。
日蓮宗の教えは、中国天台宗の開祖と言われ「法華経」を最重要経典として位置づけていた天台大師知ー(ちぎ)が築いた仏教体系を基盤にしています。「法華経」は紀元1~2世紀につくられ、漢訳で鳩摩羅什(くまらじゅう)訳の「妙法蓮華経」(八巻二十八品)がもっぱら用いられています。「法華経」は伝統的に、前半が統一的真理(一条妙法)を明かした「迹門(しゃくもん)」、後半が永遠の仏(久遠の釈尊)を明かした「本門(ほんもん)」という構成になっています。天台宗が「迹門」に重きを置いているのに対して、日蓮宗は「本門」に重点を置き、「第十六如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)」を「法華経」の中心と定めています。
そしてその最も基本となる教えと実践が「五義」と「三大秘法」です。この二つについては、この後順次お話をいたします。
日蓮聖人は、あくまで仏法の真髄を極めることが目標だったため、当時の法華経をないがしろにしている他宗をきびしく批判し、法華経こそが末法の凡夫のための慈悲と救いの経典であり、幾多の法難に遭っても力強く布教を続けました。
(筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩提寺のご住職にお聞ください。素晴らしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2007年5月号掲載