日本の宗教のいろは

曹洞宗の教えについて①

今回からは曹洞宗(そうとうしゅう)の教えについてお話いたします。 曹洞宗はよく禅宗(ぜんしゅう)とも言われます。なぜでしょうか。そのことから少しお話をいたします。お仏壇をお持ちの方はご存知だと思いますが、お仏壇の中の一番上段に安置されているのが「本尊(ほんぞん)」です。それぞれの宗旨によって違うのですが、曹洞宗は「曹洞宗宗憲」によって「本宗は、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を本尊とし」とあるとおり、仏教を開いた釈尊(しゃくそん)を本尊としているのです。
ご存知のとおり、釈尊は一国の王子として生まれながらも、二十九歳の時に出家し、その後現在のインドにある菩提樹の下で禅(ぜん)(インドに古くからあった修行法で、思いを静め、心を明らかにして真理を悟るためのもの。禅定(ぜんじょう)とも言う。)をしているときに「悟り」を開かれ仏陀(ブッダ)になられたと言われています。そのため釈尊はこの禅を受け継ぎ、新しい意義を加えたものを仏教のなかで重要な要素としてとらえていました。
そのことを二十八代目の弟子にあたる菩提達磨(ぼだいだるま)がインドから中国に伝え、その後中国で禅宗として確率していったのです。その後前週は5つの宗として発展し、その中で日本に伝えられたのは、栄西()えいさいによって日本にもたらされた臨済宗(りんざいしゅう)、道元(どうげん)による曹洞宗、後に隠元(いんげん)によって広められた黄檗宗(おうばくしゅう)があります。その三つをいっしょにして禅宗と表現しているもので、禅宗という宗旨は日本にはありません。また、禅宗は前述したように釈尊が重要とした禅をその中心においている宗旨の日本での総称とも言えると思います。これで、曹洞宗をよく禅宗と言っている意味がお分かりいただけたのではないでしょうか。 (筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩提寺の御住職にお聞きください。そばらしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2007年2月号掲載

  2007/01/23   gracom
≪ 大晦日(おおみそか)について  |  曹洞宗の教えについて② ≫