日本の宗教のいろは

真言宗の教えについて①

以前、それぞれの宗派を開いた宗祖のお話をしました。今月からは、北見地方にあるそれぞれの宗派の教えのことについて簡単にお話をします。
さて、最初は真言宗より始めたいと思います。真言宗は真言密教とも言われ、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」という心が一番大事な教えです。
これは、顕教(けんきょう)とは違い、正しい修行をつめば、誰でもこの身のままで仏になれるということです。どういうことなのか、少し紐解いてみましょう。
真言密教の密教とは何なのでしょう。弘法大師空海の著書である「弁顕密二経論(べんけんみつにきょうろん)」によれば、仏教は、ある側面から分けると2つになる。
一つは、密教。もう一つは顕教である。顕教とは、衆生救済のために仏が生身の人間となって現れた化身である釈尊が説かれたものであり、人間の意識(五感)で理解出来る教えである。しかし密教は、永遠の真理そのものである仏の大日如来が直接ありのままに説いた教えであり、大日如来の悟りに世界そのものであり、人間の意識(五感)で感じられるものだけではなく、その奥にある真理の世界までもが表現されている教えである。
そして密教とは、秘密仏教を意味し、その秘密は二つです。一つは「衆生秘密」であり、私たち人間は仏になれる仏性を持っているのに、そのことに気がつかず自らの本性で自分を隠してしまっていることです。もう一つは「如来秘密」を言い、大日如来は仏の世界の言葉で表現するので、その内容は私たち人間には理解しがたいということです。
簡単に言うと密教は、「秘密」である教えを理解するために一心に修行をすることにより「即身成仏」し、宇宙の真理と出会うことができる教えなのです。
また弘法大師は、「即身成仏義(そくしんじょうぶつぎ)」の中で、「六大無碍(ろくだいむげ)にして常に瑜伽(ゆが)なり四種曼荼(ししゅまんだ)おのおの離れず三密加持(さんみつかじ)すれば即疾(そくしつ)に顕わる重々帯網(じゅうじゅうたいもう)なるを即身(そくしん)と名づく」と述べています。
この四行に「即身成仏」の真髄が言い表されているといっても過言ではないので、どのようなことなのかを次回に考えてみます。(筆者は、宗派の専門家とは言えませんので、詳しくは、菩堤寺のご住職にお聞きください。素晴らしい人ばかりですので、わかりやすく教えてくださると思います。)
グラコム2006年7月号掲載

  2006/06/25   gracom
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