仏教の原点は釈迦の教えにあります。皆様がご存知の通り、釈迦は紀元前5世紀ごろ(諸説あり)釈迦族の裕福な家庭に生まれながら、29歳で出家し、35歳で悟りを開き、その後、布教活動の旅を続けた人生を送られました。その教えが仏教の根本にあるのです。その悟りの代表的なものが、「四諦(したい)・八正道(はっしょうどう)」と言われるものであり、最初に苦行を共にした五人の仲間に説いたのもこのことであったと言われています。
両方を一度に説明すると長くなるので、今回は「四諦」の説明をいたします。
読んで字のごとく、四諦とは「四つの諦」のことであり、「諦」と言う字の意味するところは、あきらめるという意味もありますが、元来は、つまびらか、明らかにする、物の真実をよく見る、真理、悟りという意味なのです。つまり釈迦が得た悟りの中の四諦とは、苦・集・滅・道の四つの真理のことを言います。それぞれをなるべく分かりやすく書いてみます。
苦諦(くたい)とは、人間はこの世が「苦」であるととらえる存在であるという真理であり「苦」を仏教では「四苦八苦」という言葉でも表しています。(長くなるので、次の機会に説明します。)
集諦(じったい)とは、その「苦」は、人間の尽きない煩悩(ぼんのう)により「集」、つまり招き集まるという真理であります。
滅諦(めったい)とは、その「苦」が、なくなった状態。煩悩を「滅」することにより、「苦」がなくなり「涅槃(ねはん)」の状態になることを言います。
道諦(どうたい)とは、真理をしっかりととらえ、悟りの境地を生きるための正しい道を実践することであり、この実践方法として「八正道」が説かれています。 「四諦」とは、人間が生きていく中での迷いの現実と原因を示し、悟りの結果とその方法を示したものであります。
グラコム2006年4月号掲載