健康・福祉コラム

施設看護師の役割について

 今回は介護施設で働く看護師の役割や仕事内容についてご紹介させて頂きます。介護施設の看護師の最も大切な役割は、入居者さんの健康管理です。医師の指示のもと、点滴・採血・インスリン注射・医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)、尿道カテーテルの挿入、処置などを行っています。介護施設で働く看護師にとって、介護職スタッフとの連携・役割分担は大切なポイントとなり、多職種との連携を通じて入居者さんの生活を総合的に支えています。
特別養護老人ホームをはじめ、介護施設は入居者さんの「終の住処」になることもあり、施設で看取る事も看護師の大切な仕事です。看取り介護で最も重要なことは、人としての尊厳を保ちながら最期まで穏やかな時間を過ごしてもらうことだと考えています。例えば、点滴したら元気になると思っている方もいらっしゃいますが、看取りの時期に点滴を行った場合、血管内に水分が保持できないため、心臓や腎臓がうまく機能せず、尿をつくること自体が難しくなり全身がむくんでくることが考えられます。さらに血管がもろく針が入りづらいため、点滴をする為に何度も針を刺す事がご本人にとって苦痛を伴う事にもなりかねません。点滴をすることで痰が増える場合があり、痰を自力で出せなければ、不快感の他、カテーテルによる喀痰吸引が必要になり苦痛も伴います。よって、看取り期に点滴をするということはメリット・デメリットがあることを十分に理解する必要があります。
「生活の場」である介護施設では、入居者さんの暮らしに寄り添って、じっくり向き合う看護を実践できます。日々のケアを通じて、入居者さんの生きがいや喜びのある生活を支えるのは、大きなやりがいとなるでしょう。一人一人に最期まで長く関われるのもポイントです。そして介護施設の看護師には、高いアセスメント能力が求められます。ほとんどの入居者さんが高齢者で、要介護度や疾患などによっては、ご自分の希望や思い、体調をうまく伝えられない方もいます。日々の観察やちょっとしたコミュニケーションなどから情報を収集することで、適切なケアを考えるアセスメント力がぐんと鍛えられ、とてもやりがいを感じられる職種です。
最後に当施設での看護師としての取り組みの一部をご紹介させていただきます。
●日本ユニット推進センターより道東地区でユニットリーダー研修実地研修施設の認定を受けており、ユニットリーダー研修生の受け入れをおこなっております。
●介護職員等向けの喀痰吸引等研修(痰の吸引と経管栄養の接続を行える介護職員等を養成するための研修)を指導できる「医療的ケア教員」が、私を含め4人在籍しており、研修生の受け入れを行っています。この研修を受けることで、多様な入居者さんに対応できる技術取得できることで、現場で必要とされる介護職員のスキルアップができます。
●看護学生の臨床実習生の受け入れを行っていきます。「臨床実習指導者」として、看護の現場へ踏み出す看護学生にとって、実習しやすい環境を整えることを心掛けて、看護学生の不安や緊張など精神面に配慮しながら指導に取り組みます。積み重ねる実習体験の中で、一つでも多く「看護する喜び」を感じてもらい、学び、成長することの支援を職員全員で尽力して参りますので、当施設に来て施設看護師の仕事を見に来ていただければと思います。

日本ユニット推進センター(ホームページ)にて、実地研修施設の紹介動画を視聴できます。
https://www.unit-care.or.jp/tcenter/

お話 社会福祉法人 治恵会 特別養護老人ホーム くつろぎユニット 看護長 今井 緑 氏

  2025/03/25   M I
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