北見市は少子高齢化や介護職員不足がとても深刻な状況となっています。令和6年3月末では人口が110,724人とこの5年間で5,037人減少しているのに対して、高齢化率は34.8%と上昇しており、約3人に1人が65歳以上となっています。また、総世帯数61,430世帯に対して65歳以上1人暮らし世帯は13,890世帯(22.6%)と約5軒に1軒となっており、それに伴い何らかの支援を必要とする方が増えています。 しかし、高齢者の生活を支える介護職員の現状は令和元年からの3年間で345人、年間100人以上の減少が見られており、昨年度は職員不足を理由に事業所の休止や廃止が起こっています。 現在、北見市では年間約130億円の財源が介護保険に使われています。40歳以上の方が毎月納めている介護保険料(基準額)は6,280円とオホーツク管内で北見市が一番高く、今後も利用する人が増えれば増えるほど介護保険料も増えていきますが、介護職員不足で希望するサービスが受けられないという可能性が高くなっています。 介護認定を受けている約8,000人の半数以上、また、新規申請者の約7割以上が要支援1、要支援2、要介護1の軽度者の方で、申請するきっかけとなっている原因疾患として多く共通するのが関節疾患と高血圧症や糖尿病などの生活習慣病となっており、どちらも予防が可能な疾患となっています。 原因疾患を予防する事ができれば健康寿命をのばす事ができ、自立した生活を長く送れる事により、その結果、介護や医療にかかる出費を抑えられ、浮いたお金で温泉に行く事ができるかもしれません。そのためには介護予防がポイントとなります。 そこでご紹介するのが北見市が推奨する「いきいき百歳体操」です。いきいき百歳体操とはアメリカの研究所が推奨している運動メニューを参考に高知県が開発した体操で、介護予防に効果がある取り組みとして厚生労働省も紹介しており、全国各地に広がっています。この体操のポイントはイスに座ったり掴まったりしながらゆっくりと動かす運動で、おもりの量を調整する事ができるため、元気な方から少し体力に自信がない方も一緒に取り組めます。今年度、私たちが担当する西部相内地区でも体験会を開催し、北見市の現状やこれからについてもご説明させていただきながら「やらされる」のではなく、介護予防の必要性を感じて住民が主体となり取り組む「住民主体の通いの場」が少しずつできています。そこでの交流が今後の支え合いに繋がる事も期待しています。 まずは何より自分の体のために、そしてこれからの地域を元気にするために取り組んでみてはいかがでしょうか? もちろん私たちからやってくださいと強制するのではありません。取り組まれるかどうか決めるのはみなさんです。 住民主体の通いの場にご興味のある方や新たに取り組みたい団体・グループには体験会や体操指導も行っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
お話 北見市西部・相内地区地域包括支援センター(高齢者相談支援センター西部・相内)生活支援コーディネーター 後藤 一也 氏