日本の宗教のいろは

仏教について①

皆様方のおかげで、連載も今回で五十回。読んでいただきありがとうございます。
さて、今回からは数回に分けて、仏教の成り立ちや教えなどをおさらいしていきたいと思います。
仏教は、多くの学者からキリスト教、イスラム教と並んだ三大世界宗教であると言われています。世界宗教の特色は、現実世界の枠に縛られることなく、真理を追究し、教理(ある宗教等が真理とする教えの体系)が作られていること。言い替えれば、「現実の世界を超えて普遍的な価値を追求する宗教」であり、ある特定の民族や国籍、性別や階級に関係なく、人間性の深い理解に基づく「個人」が救済の対象とされ、その「個人」が主体となっています。その世界宗教に対するものとして民族宗教があります。それはある民族を基盤とし、現実社会を中心としてその民族の伝統や習慣と深く結びついて体系づけられていて、日本では神道が民族宗教であると言えるでしょう。
では仏教とはどんな宗教なのでしょう。簡単に言えば「仏陀(ぶっだ)の教え」です。当たり前ですね。この仏陀というのはインドの古典語として使われていたサンスクリット語のブッダと言う言葉を漢字に音写した言葉であり、「真理に目覚めた人」という意味です。すなわち「真理を覚って仏陀となった人」の教えが仏教の教えと言えます。(現在、仏陀はよく仏と省略されています。)
ここで皆様は、仏教が今から二千六百年ほど前にインドの釈迦(釈尊)によって始まったということをご存じだと思います。ではなぜ、釈尊の教え、釈尊教と言わずに仏教なのかというと、釈尊は真理を悟って仏陀となった最初の人だと言われていますが、仏陀は釈尊一人ではないというのが仏教の考え方です。仏教では、釈尊が覚った真理は永遠不変の真理と考えられていますから、釈尊の以前にもその真理を悟った人はいるはずでしょうし、その後にもいるはずであると考えられているからなのです。
またその教えでは、わたくしたちすべてに仏教の教えを学び、仏になることを期待しています。つまり仏教は「仏陀になるための教え」という側面もそなえ持っている教えと言えるのではないでしょうか。つづく
グラコム2008年6月号掲載

  2008/05/26   gracom
≪ 花まつりについて  |  仏教について② ≫