前回看護師不足問題のコラムを書きましたが、今回は介護には絶対に必要な介護士が不足している問題について、コラムを書きたいと思います。
介護士は、病院や様々な高齢者入居施設、デイサービス、ショートステイ、通院介助、自宅への訪問介護などあらゆる介護が必要な場で、多くの人材が必要な職種です。以前から、介護士が慢性的に不足している問題が、様々な報道で取り沙汰されています。最近では、北海道のある地域で、特別養護老人ホームの多くの介護士が退職してしまい、施設の運営が維持できなくなったため施設が閉鎖され、入居していた高齢者が他の地域の施設に移らざるを得なくなったというニュースが報道されていました。そうなってしまった原因には、どうやら介護士の給与が上がらない問題が根底にあるようです。私は訪問診療で、高齢者施設や在宅で働いている介護士の方によくお会いしますが、特に認知症や寝たきりの高齢者の介護はとても大変です。それにも関わらず、国が決める介護報酬が実質どんどん減らされているため、各高齢者施設への収入が減る一方であり、介護士への給与も上げられないというのが現状です。医療も同じで、国が決める診療報酬が実質減額されていく一方であるため病院への収入が増えず、病院で働く介護士はもちろん、医師や看護師をはじめ各職種の給与もあまり上げられません。しかも最近では、特に外国人観光客が多い地域のサービス業などでは、人手不足で賃金が上昇しているため、介護士などの職種がそちらに転職しているという現状が、ある地域の特別養護老人ホームの閉鎖につながった要因のようです。医療や介護に従事する職種は、上がらない賃金の中、患者さんからの感謝ややりがいを見出して何とか働いていますが、それも限界に近いように思われます。国が一日も早く、診療報酬や介護報酬の見直しを行わなければ、特に地方の医療や介護体制は崩壊していく可能性が高いと思います。
あるニュースで、特別養護老人ホームが閉鎖してしまった地域の住民の方が、「40歳からずっと介護保険料を支払って、自分が高齢になり介護を受ける必要となった時に、これまでかけてきた介護保険を使っていざ施設に入ろうと思ったら、その施設が無くなってしまった。どうしたらよいのかわからない。」と切実な思いを話されていたのが印象的でした。このような現状である一方、さらに40歳以上の方が支払う介護保険料の増額が決まり、国の施策に疑問を感じます。
何の脈絡もないですが、この地域の医療と介護で働く方々!、この地域の医療と介護を支えているのは自分だ!という誇りを胸に、共にもう少し頑張りましょう!!!
■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏