外来通院中の患者さんのご家族から、介護サービスを受け始めたいけど、どうしたらよいのかという質問をよく受けます。今回のコラムでは、介護サービスを受ける手順について書きたいと思います。まず初めに行うべきことは、介護サービスを受けたい方が住んでいるお近くの包括支援センターまたは市役所や町役場に相談をすることです。そして介護保険の申請をしていただきます。この介護保険がなければ、介護サービスを受けることはできません。介護保険の申請から実際介護サービスを受け始めるようになるまで、2~3か月かかることもありますので、介護サービスを検討しているのであれば、まずは介護保険の申請を早く行うことが重要です。介護保険の申請後に行われるのが、認定調査と主治医意見書の作成です。認定調査というのは、介護保険の申請が行われた後に、市町村の職員などがご自宅に訪問して、聞き取り調査を行うことをいいます。それと同時に市町村からの依頼により、かかりつけ医がその方の心身状況について意見書を作成します。その後市町村の介護認定調査会の一次判定と二次判定を経て、市町村が要介護度を決定します。その介護保険の要介護度によって受けられるサービスが決まるため、要介護度が判定されたら次にどのようなサービスを受けるかということを選択します。介護サービスの内容には様々なものがあり、訪問看護や訪問介護、訪問入浴、通所・訪問リハビリテーション、デイサービスやショートステイ、福祉用具レンタル(介護ベッド、マットレス、手すり、テーブル、エアマット、歩行器、車椅子、スロープなど)、住宅改修(手すりの設置や段差の解消など)、通院介助(介護タクシーなど)、施設入所などがあります。これらのサービスの中から、どのサービスをどれくらいの頻度で、どこの事業所で受けるかなどを決め、ケアプラン(サービス計画書)を作成することによりサービスの利用が可能となります。
介護保険の申請ができる対象の方についてですが、原則65歳以上の方となります。ただし40歳以上64歳以下の方もがんの終末期の方や、難病・若年性認知症などの16種類の特定疾病に該当する方は利用できる場合がありますので、市町村にお問い合わせいただければと思います。
■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏