訪問診療コラム

「当院の在宅医療の方針(後編)」

 次に最期を自宅あるいは入居施設でという方を対象とさせて頂いている点に関してですが、これはコロナの影響もあります。以前は訪問診療を担当させて頂いている方が急変した場合に、ご家族をお呼びして入院で積極的に治療を希望されるか、入院せず現状で積極的な延命治療である酸素投与や点滴は行わないものの、苦痛をとるような対症療法で最期まで看取らせて頂くかという選択をして頂き、その都度対応しておりました。しかしコロナが出現した今、もし具合が悪くなった際には救急搬送して入院治療を受けたいというご希望の方に対して在宅医療を担当すると、コロナの流行期にはコロナで入院する患者さんが増えて、各病院で入院ベッドが満床となってしまうことが多々あります。そのためそのような時に入院ベッドを持つ医療機関に入院依頼を行っても、入院ができないという事態となり、当院の責任問題となります。そのため特にコロナが消えない現状において、具合が悪くなった際には入院を希望されるというご希望の患者さんの在宅医療の依頼の際には、入院ベッドを持つ医療機関に頑張って通院して頂くか、その医療機関からの訪問診療を受けることをお勧めしております。
その他の当院の在宅医療を受けて頂く条件としては、基本的に最期まで看取らせて頂く患者さんを対象とさせて頂いているため、当院でも24時間往診対応は行っておりますが、外部の24時間対応してくれる訪問看護ステーションとも契約を結んでいただきます。最期まで看取るためには介護は絶対に必要ですが、終末期になると医療より看護によるケアが重要となるためです。看護と介護をなくしては、最期まで看取ることはできません。
次に費用面についてご説明いたします。現状では、医療保険証が1割または2割負担の方であれば、1カ月当院の保険診療分だけで最高約18,000円かかります。3割負担の方は、納税額により変わりますため幅はありますが、1カ月当院の保険診療分だけで約80,000円~330,000円かかります。
最後に追記しますが、人工呼吸器使用中あるいは使用する予定という方の在宅医療の依頼は、私が人工呼吸器の管理ができないためお断りさせて頂いております。また胃瘻や経管栄養のチューブが入っている方に関しても在宅での交換はリスクがあるため、基本的にはお断りさせて頂いております。
以上のような方針で当院の在宅医療は行っておりますので、参考にしていただければと思います。

■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏

  2024/08/24   M I
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