訪問診療コラム

「熱中症に注意!」

そろそろ暑い北見の夏がやってきます。皆さんも記憶にあると思いますが、昨年の夏は北海道とは思えない程、一時期非常に暑かったです。日中も暑かったですが、それ以上に夜になっても暑くて寝苦しい夜が続いていました。昨年北見市内では、数字としてはあまり出てはいませんが、恐らく熱中症で亡くなったのではないかという中高年の方が、例年よりもかなり多かったと聞いています。特にご自宅に冷房が設置されていないお宅で多かったようです。またご高齢の方ですと、暑さをあまり感じなかったり、喉が渇いた感じがあまりしないため、水分を摂らずにすぐ脱水に陥ってしまいます。また高齢になると体温調節もうまくできなくなり、発熱することもあります。人は暑い時に汗を出して、その汗が蒸発することにより体温を下げます。そのためもし脱水であれば汗が出ず、体温が下がりにくくなります。また湿度が高いムシムシした日でも、汗が蒸発しにくいため、体温が下がりにくくなります。さらに脱水になると、血液がドロドロになり細い血管が詰まることで、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなり、血栓ができて飛ぶことにより、脳塞栓や肺塞栓という命に関わる病気を発症しやすくなります。これから今年も暑くなると思われますので、中高年の方々は、特に湿度が高い暑い日には以下のようなことを心掛けてください。

●喉が渇いていなくても、こまめに水分を摂る。
●気温が30度を超えて特に蒸し暑い日には、外出は避けて迷わず冷房を使う。
●暑い夜には、寝ている間にも汗を多くかきますので、夜トイレに起きるのが嫌だからと言わずに、寝る前や途中で起きた際にも水分補給をする。
●もし熱が出てしまった際には水分摂取をすると共に、足の付け根・わき・首筋を冷やして体温を下げる。
●暑くて食欲が落ちていても、3食きちんと胃腸が弱らないように温かいものを規則正しく食べて、睡眠を十分にとる。

もしご自身での対応が難しいようであれば、ご家族や介護の方がこれらのことを注意してあげると共に、自分自身も熱中症に注意してください。家族や介護される方が熱中症になってしまいますと、高齢の方も共倒れになってしまいますので。昨年道内で、下校中の小学生が熱中症で亡くなってしまったということもありました。若い方も油断せず、水分と食事、睡眠をしっかりとって体調に気を付けましょう。

■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏

  2024/06/25   M I
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