訪問診療コラム

「夜間休日当番病院の適正利用について②」

 前回のコラムの続きで、今回は違う視点で夜間休日当番病院の適正利用ついて書きたいと思います。
まず夜間や休日の当番病院を利用すべき対象患者さんは、言うまでもありませんが、急病の方です。たまに「平日仕事で受診できないから」とか、「1週間前から調子が悪くて」、「いつも飲んでいる薬が無くなってしまって」、「鼻水がでるだけ」、「眠れないだけ」、「目がかゆいだけ」などの理由で、平日に受診できた方や全く緊急性がない受診をされる方がいます。また利用する前にも、必ず電話をしてからの受診をお願いしています。その理由は、まず電話で重症度をある程度確認して、命に関わる可能性がありそうな方の受診を優先したいことからです。その際明らかに重症と判断した場合には、救急車を要請して頂くように促すこともあります。また新型コロナなどの感染性が強い感染症の可能性がある場合に、他の患者さんと場所や時間をずらしたり、対応する医療従事者の感染予防の装備も必要となるからです(医療従事者が感染すると仕事が継続できなくなり、地域医療に支障をきたします)。さらには、電話である程度問診をして、明らかに軽症で対症薬をお持ちであれば、受診するまでもなくアドバイスのみで対応できるからです。以上のような理由から、電話せずに受診された患者さんは、重症なのにかなり待たされてしまって対応が遅れたり、感染防御せずに受診したために他の患者さんから感染症をもらってしまったり、1~2時間待ったのに結局軽症と判断されて手持ちの内服薬を飲んで様子をみるようにアドバイスされたのみ、ということになりかねません。また今年の秋から冬に開設される予定の休日夜間急病センターに変更となると、今まで以上に外部の医師の助けも必要になるため、もし大勢の緊急性がない患者さんが電話連絡なしに押し寄せると、医師や看護師が疲弊してしまい、勤務してくれる人が減り維持ができなくなる可能性もあります。
近年この地域では、人口当たりの医師数がさらに減少してきています。私も北見育ちの市民の一人ですが、適切な医療が受けられないところで家族と暮らしていくのは非常に不安になります。これまで通り、適切な医療が受けられる北見市の地域医療を維持するためには、市民一人一人がこれまで以上に夜間休日当番病院の適正利用が必要で、それがこの地域の医療の安定につながると考えます。

■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏

  2024/02/26   M I
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