前回のコラムで医師の働き方改革の影響で、今後この地域の救急医療に影響が出るかもしれないという内容を書かせて頂きました。この影響を最小限に留めて、命に関わるような重症な患者さんが速やかに医療を受けられる体制を維持するためには、休日夜間当番病院と救急車の適正利用が必要と考えます。今年の1月8日月曜日の祝日に、当院が休日当番病院を担当しました。約140人の患者さんが来られ、約120人の方が発熱などの症状があり、新型コロナとインフルエンザが大流行している状態であったことから、検査を希望され実施しました。当院の駐車場に収容できる以上の患者さんが押し寄せたため、自家用車で道路に並んで待たなくてはならない状態でした。そのため検査を受けて会計や投薬を受けるまで、2~3時間待ちの状態となりました。もしこのような状況で、脳卒中や心筋梗塞、消化管出血などの早急に対応しなければならない患者さんが来院されていたら、対応が遅れ命を落としかねない状況だったと思います。では多くの患者さんがいる中で、重症な患者さんが速やかに医療を受けられる当番病院の体制にするためにはどうすれば良いでしょう?それは、軽症な患者さんがなるべく休日当番病院へ受診するのを控えて頂くということです。軽症な患者さんの具体例としては、熱はあるが解熱剤を持っているので平日の受診まで待てる方、咽頭痛や鼻水程度の軽度な風邪症状の方、嘔気・嘔吐・下痢などの症状はあるが水分は摂れる方、軽度の血圧上昇・めまい・じん麻疹・やけど・帯状疱疹・頭痛・便秘・眼耳鼻の症状の方、不眠症・痛風・骨折が疑われない整形外科疾患の方、などだと思います。また小児の場合、ぐったりしておらず水分が摂れて尿も出ている状態であれば、だいたいは休み明けまで様子をみて頂いて大丈夫だと思います。今回の当番病院でもかなり多くの新型コロナやインフルエンザ感染症の患者さんが来られましたが、これらも呼吸が苦しいなどの症状がなければ、家族と距離をとって休み明けに検査をして治療して頂ければ十分だと思います。新型コロナは当初よりも弱毒化しているため、高齢者でなければあまり重症化しないからです。むしろ最近の休日当番病院では、2~3時間待ちは当たり前のようになっているため、毎回車で待っている間に具合が悪くなってしまう患者さんやその家族の方を多くみます。休日や夜間はほとんど1~2箇所の医療機関しか開いておりませんので、よっぽど具合が悪い状態でなければ、平日に多くの医療機関が開いている時に受診して頂いた方が患者さんが分散しますので、待ち時間も医療費も少なくてよろしいかと思います。
■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏