前回のコラムでお伝えしたように、今回は当院のクラウドの活用法について、コラムを書きたいと思います。
当院では、訪問診療や訪問看護を実施させて頂いている一部の患者さんやそのご家族から同意を頂いた上で、医療情報をクラウド上で共有しております。具体的な医療情報としては、カルテの内容の一部や処方内容、採血データ、血圧や心拍数などの測定値です。共有している職種は、訪問看護師と訪問薬剤師が主です。これらの内容を情報共有しているメリットとしては、例えば処方内容が変更されたというのは処方箋や調剤内容を見ればわかりますが、何故変更されたかというのはカルテの内容を見ないとわかりません。症状が良くなって変更になったのか、悪くなって変更になったのかは、カルテの内容が見られれば一目瞭然です。また採血検査の結果や血圧、心拍数も見られれば、病状が改善傾向か悪化傾向かもわかります。そのため担当する他の職種も、当院の訪問診療後に自動的に更新されたそれらの内容を確認することで、度々担当医師に病状の確認をしなくても把握できている状態が作れます。一方訪問看護師からは、患者さんの病状変化や、患者さんとご家族から何か希望などがあれば、クラウド上に書き込んでくれることで、医師や薬剤師が速やかに対応することも可能となりました。さらに薬剤師からは、患者さんの薬が余っている、薬が足りない、粉砕が必要、きちんと薬が飲めていないので一包化が必要などの情報共有も可能となります。また皮膚の病変に対して、訪問看護師が処置の際に写真を定期的に撮って共有してくれることにより、治療薬の効果が画像で把握できるメリットもあります。以上のようにクラウドを利用して、ほぼリアルタイムにそれぞれの職種が患者さんの病状を把握できていることで、何かあった際の対応なども速やかに行えるようになっています。また、まだごく一部の患者さんに限られてはいますが、紹介元や紹介先の医療機関との速やかな情報共有などにも、当院のクラウドを利用しております。
最近では、電子カルテもクラウド型のものが主流となりつつあります。次回のコラムでは、実現することはかなり困難だとは思いますが、もしこんなことができたら、患者さんのメリットとなるだろうな、ということについて書いてみようと思います。
■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏