訪問診療コラム

「北見市の医療事情⑤ ~新型コロナとインフルエンザの同時流行について~」

 このコラムを書いている1月8日現在、北見市では、新型コロナ感染者数が高止まりしている中、インフルエンザが流行してきました。ここ数年インフルエンザが流行していなかったため、私は新型コロナの感染予防対策をしていたら、インフルエンザ感染はある程度防げるんだろうと考えていました。しかし現実は、新型コロナ感染者数にだんだん近づきつつある状況です。当院では1月1日休日当番病院を担当し、90人の患者さんが来院し、75人の方に新型コロナとインフルエンザの検査を行いました。その結果、新型コロナ陽性となった方は36人、インフルエンザ陽性となった方は12人、同時感染という方も1人いらっしゃいました。実際の医療現場では、同時流行が非常に負担となってきています。これまではインフルエンザが流行していなかったため、当院ではまずIDNOWというPCRに近い検査を実施し、陰性であれば新型コロナ陰性としてすぐ対応できていました。しかし現在では、その検査が陰性であったら、発熱している方であればインフルエンザ検査も実施しなくてはならず、1人の方に検査時間が約2倍かかるようになってきました。インフルエンザと新型コロナを同時にチェックできる抗原キットというものも使用していますが、熱が出たばかり、あるいは発熱がない新型コロナ感染者の場合、抗原キットだと陽性とならないことがあるため、新型コロナを見逃してしまう可能性があります。そのため現在もそれら2つの検査方法を患者さんの症状に合わせて組み合わせながら実施しているので、試行錯誤の毎日です。また1人の方の検査時間が以前よりかかるため、1日にできる検査数も減ってきていること、検査実施後の診察や会計、処方薬のお渡しまで時間がかかること等、来院される患者さんにはご理解頂きたいと思います。  元旦の休日当番病院の際、こんなことがありました。朝から電話で受診予約をしてから来て頂ける多くの患者さんがいる中、電話予約なしに自家用車やタクシーでどんどん患者さんが来られたため、一時当院の駐車場は満車となり、道路で渋滞も発生してしまい、近隣住民の方に大変迷惑をかけてしまいました。また重症の患者さんも同時に受診されたため、当院は大混乱となり、かなりの待ち時間となってしまいました。そしてある患者さんの家族には、「何時間待たせるんだ!」と外で必死に走り回りながら検査している中、怒鳴られました。また検査だけ受けてもうこれ以上待てないと言って、会計せず勝手に帰ってしまった方もいました。今後北見市休日夜間急病センターが新しく建設される中、休日当番病院への受診の仕方について、北見市は市民の方々と議論しなくてはならない時期にきていると考えます。

■お話…本間 栄志 氏 医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長

  2023/01/31   M I
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