介護医療コラム

「終末期医療の治療方針⑦ ~食事について~」

7回目のテーマは食事についてです。終末期医療において、食事は患者さんにとって楽しみの一つであると同時に、食事ができなくなると余命を短くしてしまう要因となるものです。終末期において患者さんは、死が近づいている、残される家族が心配、身体が自由にならない、などの不安やストレスを感じることが多いです。そうなると胃酸の分泌量などが増えて胸やけを起こしたり、胃炎や胃潰瘍になることも少なくありません。そのため終末期医療においては、そのような要因で食事量が低下しないようにするため、早い段階から胃薬の処方を行います。また様々な痛みなどの症状が出てきた際に、痛み止めを使用すると、胃に負担がかかることからも、胃薬の処方は必要性が高いと思われます。 次に食欲が低下する要因として挙げられるのが便秘です。終末期医療において、寝たきり状態に近づいてくると、身体が自由に動かせなくなるため腸の動きも悪くなってきます。またモルヒネなどの薬剤を使用すると、腸の動きが薬の影響で低下することが多いです。そのためこれらの要因からくる便秘に対して、モルヒネによる便秘の症状を和らげる薬剤や下剤などを使用して、自然な排便に近づけるように心がけています。 また夜間不眠になって、日中寝てしまうような状態になっても、食事が十分とれなくなることもあります。特に終末期においては、せん妄を起こさないようにするためにも、規則正しい生活が必要です。具体的には、まず朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる、昼寝はしても30分以内にする、日中適度な運動をして身体を少し疲れるようにする、それらを行っても入眠できなかったり途中で起きてしまうようであれば睡眠薬などの使用も検討する、などです。 以上のようなことを心掛け、終末期医療において、ご自宅や入居施設で残された期間を患者さんに安楽に過ごして頂ければと考えております。

  2022/07/23   M I
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