訪問診療コラム

「北見市の医療事情⑩ ~新型コロナの正しい自己検査方法について~」

 5月以降、北見市では、1週間に200人前後の新型コロナ感染者が毎週出ている状況です。決して少ない数ではなく、当院でも検査を行っていると毎日陽性者が出ている状況です。しかも昨年の秋から冬にかけて一度感染していても、また今回感染したという方が増えています。これは恐らく、北見市で現在流行している新型コロナウイルスが、昨年流行したウイルスとは異なる、変異したウイルスであるためと考えられます。今のところ、全国的にも全道的にも、感染者は増加してきている状況です。北海道の一部の地域では、急激に感染者が増えてきている所もあります。オホーツク管内でも何かのきっかけで感染者が急増する可能性も十分ありますので、引き続き屋内などで多くの人が集まるような場所では、基本的な感染対策の継続は必要だと考えます。  さて最近、新型コロナ抗原キットが職場で配られたり、市販で購入されてご自身で持っている方が増えています。そんな中、適切な検査方法で使用されずに、「発熱があるが、自分で抗原検査をして陰性なので診てほしい。」と言って、多くの患者さんがいる院内に直接入ってくる方が増えてきています。そのような方を当院でIDNOWというPCRに近い検査方法で検査を行うと、陽性となる方が少なくありません。そのため抗原キットを使って、ご自身で正確な検査を行うためには、以下のようなことに注意してください。

<抗原キット検査の特徴と正しい使い方>
・発熱などの症状が出てからすぐに検査しても陽性にならない 抗原キットは、発熱などの症状が出てから24時間くらい経って使用しなければ、新型コロナウイルスに感染している人も陽性になりにくいです。そのため発熱などの症状が出た際には、とりあえず学校や職場を休んで、1日経ったくらいで検査を行いましょう。

・適切な方法で検体をとりましょう
抗原検査で検体をとる際には、鼻腔の奥にある鼻咽頭という喉の辺りまで綿棒を入れて検体をとる必要があります。鼻腔内や唾液などでは正確な検査になりません。  以上のように自分で行う抗原検査は、適切な方法で行わなければ正確な検査とならず、陰性だと思って職場や学校、医療機関に行くとその場で感染を広めてしまいます。そのため発熱などがあり、ご自身で正確な検査を行う自信がない方は、北見市内の各医療機関に事前に電話で検査の予約を行った上で、検査を受けることをお勧めします。

■お話…医療法人社団 邦栄会 本間内科医院 理事長 本間 栄志 氏

  2023/06/23   M I
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