介護医療コラム

「終末期医療の治療方針④ ~モルヒネについて~」

4回目のテーマはモルヒネについてです。モルヒネは、主に癌の患者さんに使用する薬剤で、痛みや呼吸苦などの苦痛を緩和してくれる薬剤です。現在では様々な剤型があり、錠剤や粉薬、水薬、貼り薬、座薬などです。かつては、モルヒネを使用するのは癌の末期の状態というイメージでしたが、現在では手術前や抗癌剤投与と併用しながら使用することもあり、癌による苦痛がある時には早くから使用することも多くなってきました。しかし特に日本人では、モルヒネ=麻薬というイメージが強く、麻薬=非合法?と考えてしまい、なかなかすんなり受け入れることができない患者さんやご家族は未だに多いです。
モルヒネを患者さんに導入する際に、私が患者さんとご家族とのやり取りで多いのが、次のようなものです。患者さんとご家族から、「モルヒネを使うということは、もう癌の末期の状態なんですね。モルヒネを使うと死期が早まるんですよね。あと副作用も強くて意識がもうろうとなって、話もできなくなり亡くなっていくんですよね。」それに対する私の返答は、「モルヒネは医療用麻薬であり、昔はモルヒネを使用するのは癌の末期の状態というイメージでしたが、現在は癌による痛みなどがあれば、末期の状態でなくとも早くから使用します。モルヒネなどで癌の痛みや苦痛を適切にとると、むしろ余命は伸びるという研究結果もあります。現在ではモルヒネの適切な使用量や、副作用を少なくするような対応方法も決められています。しかし中には、モルヒネの副作用である眠気や便秘、吐き気などが強く起こることがあり、その際にはモルヒネの種類を変更したり、他の薬剤を併用して対応します。」
以上のようなご説明をさせて頂いた上でモルヒネを導入し、強い副作用などがないか定期的にチェックしていきます。特に癌の終末期の患者さんでは、モルヒネの使用などで少しでも苦痛を緩和して、残された時間を少しでも楽に過ごして頂けるように心がけています。

  2022/03/18   M I
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