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ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.78

犬の嗅ぎ分けパワー

〜災害救助犬〜

3月11日に東日本を広く襲った大災害。東北地方太平洋沖地震。連日の報道に心痛めた方々は多いと思います。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災した方々へ心よりお見舞い申し上げます。復興まではまだまだかかると思いますが、自分たちができることはやって行こうと思っています。「頑張れ東北!頑張れ日本!」

今回の地震の数日後には世界各地から災害救助犬をつれて緊急災害救助隊が来てくれました。災害救助犬が来たのは、がれきの下に埋もれているヒトの臭いを嗅ぎ分け救助隊に伝えるためです。被災してから3日間が生命の分かれ目と言われています。早急な捜索が求められている中、危険な現場に行き、能力を発揮する犬たちの姿は本当に頼もしいものです。

犬の感覚器の中でも、最も鋭敏なのが、鼻、すなわち嗅覚です。これは、訓練された犬だから優れているのではなく、基本的に犬自体の持つ大きな特徴です。ヒトと比べると、100万倍ともいわれています。では、どうして犬の嗅覚はそんなに優れているのでしょうか?一般的な犬は鼻筋が長いです。だから、鼻腔も広くて、鼻粘膜にたくさんの嗅覚細胞が分布しているのです。嗅覚細胞の数は、人間では約500万個なのに対して、犬は2億個あるといわれています。さらに、鼻腔内の中鼻甲介が複雑になっていて、嗅粘膜を平らに広げて伸ばすと、その面積は人間の場合、約4cuですが、犬の場合は、その広さは18〜1500cuにもなるとのことです。災害救助犬や警察犬にシェパードやラブラドールレトリバーなどが多いのは、そのためなんです。パグやシーズーなどの短頭種はその能力は落ちますが、それでもヒトに比べると格段に優れています。

このように犬の優れた嗅覚は、人間社会にも大変有益な能力として役立っているのですが、現在、さらにその能力を人間社会に生かそうという研究も進んでいるようです。例えば、犬は飼い主さんの健康状態を、飼い主さんの臭いの変化で知ることができたり、さらには、その臭いの変化で、飼い主さんの病気、発作を予知できる可能性があるのではないか、という研究がされているそうです。実際に、犬が人間の悪性皮膚腫瘍の転移先を嗅覚で捜し当てたり、糖尿病の血糖値の変化に反応したりするなどの報告もあるようです。このように犬の嗅覚を利用して、物やヒトを探すだけでなく、今後は医療の場でも、嗅覚という犬の優れた能力が発揮される日も遠くはないかもしれません。

今回の地震では、被災した犬や猫も多いと思います。神戸の震災以来、被災動物への緊急災害時動物救援本部などの支援体制ができており、すでに動き始めています。動物たちも頑張ってほしいものです。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2011年4月号掲載

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