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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.34

ヒザから変な音がしませんか?

〜犬の膝蓋骨内方脱臼について〜

3月の声を聞くと春間近という感じですね。暖冬だった今年の冬でしたが、春から夏にかけて作物のできがどうなるか心配です。

最近、小型犬の膝蓋骨内方脱臼の手術件数が増加傾向にあります。特にトイプードルが流行ってきている事情もあるかもしれません。数年前まで年に5頭前後の手術でしたが、最近は10頭以上になっています。いわゆる「膝の皿」が上下運動だけでなく内股側にずれてしまう病気です。先天性または成長過程における大腿四頭筋の配列不全により、大腿四頭筋の内側が萎縮し、膝蓋骨が内側にずれるようになってしまいます。

長期に放っておくと骨まで変形したり、関節症になったりします。また前十字靭帯断裂の危険性が高くなります。日本では小型犬の人気が高いですが、より小さなサイズを好むため、この疾患が多くなったと言われています。ある報告では小型犬の約半数は罹患していると言われています。

重症度の分類は4段階に分かれています。1度と2度はあるきっかけで脱臼しますが、犬自身でも戻すことができます。この出入りの際に変な音(コキッとかツルン)がします。スキップのような歩き方をすることもあります。多くの場合抱き上げると後ろ足が交差してしまいます。1度と2度の場合の治療法は運動制限、関節周辺の筋肉のマッサージ、脱臼をできるだけ防ぐためソフトなギブスを巻いたり、痛みに対するケアをしてあげます。改善がみられない場合は手術適応となります。

3度4度となると脱臼したままなので変な音はしませんが、ひどい場合は後肢を全くつかないで逆立ちのように歩く子もいます。18年前私が初めて行った手術の子は器用に逆立ち歩きをしてました。3度4度の場合は手術が第一選択です。できるだけ早めに手術をしてあげるといいでしょう。手術方法も複雑になってきます。膝蓋骨の受け皿を作り、萎縮している内側の筋肉を分離したり、骨を切ったり移転したりします。手術の後も数日間の入院となります。幸いにも18年前のポメラニアンは手術後4つ足で歩けるようになりました。

治療は犬にとっても飼い主さんにとっても大変な負担になります。購入の際にはヒザから変な音がしないかチェックすることも必要ですが、できるだけこういう子達を増やさないように繁殖には使わないよう注意を払うべきでしょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2007年3月号掲載

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