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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.29

犬や猫の鳴き声が変わってきてませんか?

スポーツの秋、芸術の秋、そして食欲の秋。この季節の色合いの変化が気に入ってます。
今回は犬や猫の鳴き声の変化について書きたいと思います。以前しゃべらない動物をよく診察できますねと問われたことがあります。
もちろんどこが痛いとか、かゆいとか言ってくれると助かることが多いですが、飼い主さんの観察による動物の変化をよく伺い、そして診察室ではそれを私たちは五感を使って確かめています。時には血液検査やレントゲン、超音波検査なども利用します。

声についても、喜んでいる・悲しんでいる・怒っている・人を呼んでいる声などよく聞いているとわかってきます。声はどうやって出るのでしょう。
ノドの奥の気管の入り口(喉頭)が声の発生部位です。構造も機構も少し複雑です。犬の発声は声帯ヒダの弛緩と緊張、声帯の前にある前庭ヒダとクサビ状の突起の微妙な動き、声帯裂の大きさの変化によって実施されます。犬が怒って吠える前に「うー」とうなりますが、喉頭室というユニットがあるために聞こえてきます。猫にはこのユニットはありません。

鳴き声の変化は感情の変化によるものではなく質の変化です。「ワンワン」が「ハフハフ」「ゲフゲフ」となったり、「ニャンニャン」がかすれ声になったり、また全く声が出なくなったりします。
こうなったら飼い主さんも気づくと思います。声の出るところは喉頭部ですのでここに何らかの変化が出ています。単純なものですと異物(小骨、木片など)が挟まっている場合があります。ノドの奥ですので口を開けただけではわからないと思います。
次に猫のウイルス性咽頭炎これは発熱、ヨダレなど他の症状と合わせて診断できるでしょう。また、日本にレトリバー犬種のブームがきて数年経ちますが、欧米においてこの犬種の咽頭麻痺が高齢犬で多く報告されていますが、日本でも高齢に達するレトリバー犬種が多くなりますので気をつけなければなりません。

そして腫瘍のことも考えておいてください。初期は他の症状はなく、ただ鳴き声が変わったというだけ食欲、元気も変わらないのでどうしても様子を見てしまいます。
悪性のものでは腺癌、扁平上皮癌、リンパ腫、骨肉腫など。良性のものではポリープ、平滑筋腫、軟骨腫などがあります。いずれも外科手術が必要になります。悪性のものは抗がん剤、放射線療法などを行いますが、動物も飼い主さんもたいへんです。検査はレントゲン、内視鏡、エコーで場所を確かめて、病理検査になります。
今回も飼い主さんの観察の助言的なことを書かせてもらいました。皆さんは動物の代弁者ですのでよろしくお願いします。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2006年10月号掲載

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