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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.169

今年の犬フィラリア症の予防について

 

4月を迎え、多くの職場で新人さんをお迎えのことでしょう。今年は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、例年とは違う対応に追われ心労が溜まっておられるのではないでしょうか?皆様どうぞ御自愛なさってください。

これからペットたちの寄生虫病の予防シーズンになっていきます。毎年今年はどの時期から予防を行うか迷います。大雑把ですが、前年の平均気温の変化とその年の冬の気候状況によって考えるようにしています。昨年2019年の平均気温を札幌気象台が発表しているデータからある計算をします。昔のことを言うと怒られますが、以前は図書館に行って過去のデータをいただき手計算をしてました。今は簡単にほぼリアルなデータが手に入ります。便利になりました。

予防した方がいい寄生虫病の中で、気温に敏感なのが犬フィラリア症です。この地方では比較的珍しい病気になりますが少し説明をしておきましょう。フィラリア(犬糸状虫)の成虫が肺動脈や心臓に寄生するため、血液循環障害を起こし、さまざまな症状が現れます。例えば散歩中にとても疲れやすくなり、階段を登るのを嫌がったり、興奮時や早朝に乾いた咳をするようになります。また、肝臓の肥大、腹水(お腹に水がたまること)、浮腫(ふしゅ:むくみのこと)、肺動脈塞栓(肺動脈の血管がつまること)、喀血(かっけつ:気道からの出血で血を吐くこと)、さらに多数の成虫が寄生している場合、それらが心臓につながる大きな血管を塞ぎ、血尿や貧血、呼吸困難などをともなう急性症状が現れ、急死する症例もあります。

フィラリアに感染した犬の血液にはフィラリアの赤ちゃんミクロフィラリアがいます。夏の間に蚊が、感染した犬の血を吸うとミクロフィラリアが蚊の体内に移動し、蚊の中でミクロフィラリアが育っていきます。蚊の体内で育つためにはある条件を満たした気温が必要となります。毎年気候は変わりますので。つど犬に感染するであろう期間を予想します。昨年は例年より約1ヶ月早く条件を満たしました。つまり例年より1ヶ月早く予防を始めた方が良いことがわかりました。予防終了の時期は例年通りで良いこともわかっています。犬フィラリア症の予防推奨期間は6月末から10月末の5ヶ月間となります。これは北見地方のデータから計算しました。他の地域については地元の動物病院の獣医師に聞かれると良いかと思います。また、飼育形態、他の地域に移動する場合、多少変更が必要な場合があります。獣医師に相談してください。

さて、新型コロナウィルス感染症について一言だけお伝えします。現在感染が蔓延している国からの犬や猫の症例は報告されていません。香港で感染者が飼っていた犬の鼻と口から弱い陽性反応が出たと報道されましたが、この犬も症状は出ていません。過度のご心配はいらないかと思います。皆さんの日頃からの感染予防とペットたちを清潔にすることでよろしいかと思います。

1日も早く終息することを願うばかりです。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2020年4月号掲載

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