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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.150

犬のアレルギー性皮膚炎の新しいアプローチ

 

4月になり、多くの職場でも新人さんが入ってきて、爽やかな風が流れているのではないでしょうか。また、雪解けも進み、待ちに待った外での散歩が本格的にできます。同時に木々も芽吹き花粉が舞う時期でもあります。北海道でも花粉アレルギーの方は多いのではないでしょうか。

アレルギー症状の犬たちが増えています。アレルギーの症状は、発症する場所、経過、重症度などで変わります。症状は湿疹、鼻炎、結膜炎、喘息、消化器症状まで様々で、程度にも差がありあす。まれにショック(アナフィラキシー)になる場合もあります。皮膚に表れた症状がアレルギー性皮膚炎です。実に犬の約10%がアレルギー性皮膚炎を抱えていると言われています。その原因(アレルゲン)となる物質はその子によって違います。卵、大豆、肉などの食べ物が原因(食物アレルギー)となるのが約50%、食べ物以外が原因(アトピー性皮膚炎)となるのが約50%と言われています。食べ物以外といっても実に多彩です。ハウスダスト(ホコリ、イエダニなど)、花粉(スギ、シラカバなど)、その他(植物、カビ、ペットの毛など)です。

原因が異なっていても症状はほぼ共通しています。皮膚のかゆみ、発疹などで、約8割が慢性経過をたどり、皮膚が肥厚したり(象皮症)、黒くなったり(色素沈着)、脱毛したりします。

まず、食物アレルギーかどうかのチェックポイントは、病変が背中、肛門周囲、四肢端に見られ、1歳未満で発症し、症状発現に季節性がなく、排便回数が1日3回以上、と言われています。原因となる食べ物を特定し、食べないようにすれば食物アレルギーの症状は出ないはずです。今まで食べたことのないタンパク質(新奇タンパク)やアレルギーにひっかからないように、細かく分解した食事に変える事で症状が軽減する事があります。しかし、判定するのには1、2ヶ月必要です。より効果的な治療をより早く行うためには、検査による正しい診断が必要です。

次にアトピー性皮膚炎の診断基準ですが、3歳までに初回発症、室内飼育、初診時は皮疹のない痒み、前肢の病変、耳介の病変、腰背部に病変がない、などです。残念ながらこの診断基準で100%診断できるわけではありませんし、現在正確に診断できる検査もありません。細菌感染、外部寄生虫などの可能性を否定した上での診断となります。

アトピー性皮膚炎は、遺伝的素因や体質、皮膚のバリア機能異常、免疫学的異常、そして心理的ストレスなど、様々な要素が関連しているため、短期間で治せる病気ではありません。症状の軽減効果が高く、副作用が少なく、飼い主さんの負担が少ない治療方法を相談しながら進めていきます。こまめな掃除によりアレルゲンを室内から除去することをはじめ、ステロイドの内服と外用、シャンプーや保湿材によるスキンケア、不飽和脂肪酸の投与、抗ヒスタミン剤、犬インターフェロン、免疫抑制剤が使われてきました。根本治療になりうる減感作療法も以前より安全にできるようになりました。また、この1年では「かゆみ対策に特化」した治療法が出てきました。内服と処方食です。ほとんど副作用がないのも特長です。多くのアトピー性皮膚炎の犬たちには朗報です。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2017年4月号掲載

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