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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.149

イヌの胆嚢の病気について

 

3月になると、春を感じますね。河川敷のネコヤナギの芽吹きが大好きです。

さて、今回は胆嚢の病気について書きます。この年末年始に何頭か胆嚢破裂のイヌが来院しました。胆嚢が破裂すると胆汁性の腹膜炎になり、大変危険な状態になります。そうならないことを願い、少しだけですがお話しします。

胆嚢とは、肝臓から分泌される胆汁を貯めておく袋状のものです。食べものが胃に入ってくると、胆嚢から胆管という管を通して胆汁が十二指腸に出てきます。そして胆汁は、脂肪の消化を助ける働きがあります。何らかの理由で胆嚢に炎症や機能障害が起こると発症します。まず食欲の低下が見られ、元気がなくなります。その後、嘔吐や下痢などの症状が見られるようになり、徐々に重症化していきます。病気が進行すると黄疸が出ることがあります。胆嚢疾患の多くは胆嚢の炎症から始まります。胆嚢炎は、直接胆嚢への細菌感染が原因だったり、胆嚢の近くの十二指腸や膵臓の炎症によっても発症することもあります。他にも、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患が関係する場合もあります。胆嚢炎を起こすと、胆嚢に蓄えられているサラサラの胆汁が結晶化したり泥状になり、粘稠性が高くなり、胆汁が出にくくなります。徐々に胆嚢が膨れ上がり、破裂する「胆嚢破裂」という最悪な状態に陥ります。治療ですが、比較的軽症な場合は抗生物質や利胆剤を使って、胆汁の流れを良くします。それでも効果がない場合は、手術で胆嚢を取り除きます。そして胆管を洗浄し、十二指腸までつながっていることを確認します。胆嚢がなくても大丈夫?という疑問がありますよね。肝臓そのものから胆汁が出てきますので、消化は出来ます。しかし、高脂肪の食事は避けた方が良いです。ちなみに、ほ乳類の中には初めから胆嚢がない動物がいます。馬、鹿、ゾウ、ラクダ、リス、ラット、クジラなどです。予防法はどうすれば良いのでしょうか。子犬の頃から適度な運動とバランスの良い食事を心がけ、コレステロールや中性脂肪が溜らないようにしたり、膵臓や腸炎が起こらないようにする注意が必要です。また、高齢になると、原因のひとつである甲状腺機能低下症などにもなりやすくなります。胆嚢疾患は症状を見落としやすく、重症化しやすい病気なので、病院での定期的な健康診断をお勧めします。その時は血液検査だけでなく、超音波検査で胆嚢を必ずチェックしておきましょう。胆嚢の状態がよくわかりますので、早期治療につながります。高脂血症を遺伝的に起こしやすいシェットランド・シープドッグ、ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル、ポメラニアンなどが後発犬種とされています。是非とも気をつけてください。やっぱり適度な運動とバランスの良い食事! 基本ですね。  早ければ3月末に雪解けが始まります。マダ二が出てくる時期でもあります。こちらも気をつけましょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2017年3月号掲載

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