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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.148

椎間板ヘルニアについて

〜なぜか冬に多い?〜

2月は一年でもっとも寒い時期ですが、月末には少し春が感じられる月でもありますよね。なかなか散歩にも出るのが億劫かと思いますが、天気のいい日は出かけてみませんか。

今回は椎間板ヘルニアについて書きます。なぜか冬に多く来院されますので、少しだけ耳を貸していただけますか。脊髄は脳からの指令を全身に伝え、また、末梢の感覚などの情報を脳に伝える働きをもちます。脊椎という連なった骨の中を通ってます。脊椎は椎間板によって強く連結されています。この椎間板が脊髄に向かって飛び出し、脊髄を圧迫する状態が椎間板ヘルニアです。神経麻痺、強烈な痛みを伴います。犬の全て病気の中で約2%を占め、最も多い脊髄疾患です。

◎椎間板ヘルニアのタイプ
@ハンセン1型:M.ダックスフント、シーズー、ペキニーズ、ウェルシュコーギー、フレンチブルドッグ、ビーグル等の軟骨異栄養性犬種に起こりやすいタイプ。これらの犬種は2歳までに椎間板の変性が始まります。ここに負担がかかると、椎間板が飛び出して脊髄を圧迫します。中でもM.ダックスフントは他の犬種の12.6倍の発症率と言われています。
Aハンセン2型:線維輪の内層が断裂して、その中に髄核が移動し線維輪を押し上げることで脊髄を圧迫します。比較的高齢の柴犬や大型犬にみられます。

◎脊髄障害の重症度  脊髄障害の障害の程度は突出する椎間板物質の量・到達度・突出したスピードによって決まります。重症度によって5段階のグレードに分かれ、選択する治療法が変わります。

◎診断の進め方
飼い主さんからの詳細なお話がとても役立ちます。いつから、どのようなきっかけで発症したか、排尿・排便、痛みの有無などを聞きます。身体検査:全身の状態、歩様の状態、痛みの箇所などを調べていきます。神経学的検査:主に触診や打診をして専門的な検査を行ないます。ヘルニアが起こっている大まかな部位を特定したり、障害の程度を診ていきます。画像診断:椎間板ヘルニアの悪さをしている場所(責任病変)は大部分は1カ所だと言われています。その場所を突き止めるために画像診断を行います。レントゲン、CT検査、MRI検査があります。MRI検査は病変部位の特定だけでなく、脊髄の状態も把握できるのでお奨めです。

◎治療について
内科療法と外科療法、そして理学療法があります。通常、内科療法は2~4週間の絶対安静が必要です。脊髄機能の回復は外科療法に比べて時間がかかり、不完全なものです。内科療法は、重症の脊髄障害患者、脊髄機能が悪化傾向にある患者、飼育環境や性格により絶対安静が不可能な患者では不向きです。症状が一時的に改善しても、後に椎間板ヘルニアが再発し、脊髄障害は更に重症となる危険性があります。 外科療法は各種画像診断後、全身麻酔をかけ椎間板ヘルニアの発生部位を確認した後、手術によって脊髄を圧迫している椎間板を取り除く方法です。原因を取り除きますので、回復の可能性は高くなります。また、先端治療として再生医療の試みも始まっています。なぜ冬に多いのかは分かりませんが、思い当たることがあればすぐに動物病院へ!

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2017年2月号掲載

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