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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.146

犬のスキンケアについて

〜ヒトとのちがいについて〜

 12月になりました。いつもより1ヶ月季節が早く進んでいるようで、冬支度にもお忙しいかと思います。毎年11月末に学会で大阪に行くのですが、すでに紅葉が終わっていました。

冬になりますと乾燥肌になり、私たちも皮膚にひび割れができ、スキンケアを頻繁に行います。犬たちも乾燥には弱いようです。犬の皮膚の特性からヒトよりスキンケアが必要かも知れません。

ヒトも犬も、皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層で構成されています。実は犬の表皮は人に比べるととても薄く、ヒトの赤ちゃんの表皮よりも薄いと言われています。それだけ刺激に弱く、デリケートだということなのです。また、ヒトと違って犬は全身が毛で覆われています。1つの毛穴から生えている毛の数は、ヒトでは1〜数本ですが、犬の場合はたくさん生えていて、比較的長い主毛(トップコート)と短くて細い副毛(アンダーコート)の2種類の毛があることも特徴的です。表皮が薄い分、被毛が皮膚を保護し、刺激から守っているのです。もう一つ、ヒトとの違いは汗のかきかたです。皮下にある汗腺のタイプが違います。ヒトではエクリン汗腺が全身に分布していて、そこで分泌された水分量の多いさらさらの汗が出てきますが、犬ではこのエクリン汗腺は足の肉球にしかありません。犬の全身には、人ではわきなど特定の部分だけにあるアポクリン汗腺が分布していて、べたべたした汗をじわじわとかいています

最近皮膚病で病院を訪れる犬が増えてきています。犬はもともと皮膚のpH(ペーハー)が中性からアルカリ性で(ヒトは弱酸性)、細菌が増えやすく、さらに気密性の高い室内で飼うことが多くなり、被毛の通気性も悪くなり、皮膚が蒸れやすくなったことで、細菌感染が増えているのではないかとも言われています。また、犬のアトピー性皮膚炎も増えてきています。アトピーは遺伝的な体質が関係しており、柴犬、ウェスト・ハイランド・ホワイトテリア、シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、レトリーバー系などで多く見られます。アトピー体質の犬は皮膚が生まれ変わるターンオーバーのサイクルが短く、皮膚のバリア機能や保湿力が低下しているため、皮膚トラブルが起こりやすくなります。 コッカー・スパニエル、シー・ズー、ビーグルなどは、皮脂の分泌が多く、体がべたつきがちのため、カビの仲間であるマラセチアが感染しやすく、脂漏性皮膚炎(マラセチア皮膚炎)などを起こしやすいことが知られています。 また、パグ、シー・ズー、チン、ブルドッグ系など顔のしわの深い犬種は、しわの中の皮膚が蒸れたり皮膚がこすれたりして炎症が起こりがち。さらに太っている犬は、たるんだ皮膚が擦れたり、足の肉球のすき間がなくなって蒸れ、皮膚炎を起こしたりします。

今回は犬の皮膚病が多くなった背景を書きました。次回はお家でできるスキンケアのことを書きましょう。それまで乾燥と空気の流れにも気をつけていただきたいと思います。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2016年12月号掲載

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