グラコムネット(北見市の無料宅配情報誌サイト)

ペット保険の一括資料請求【無料】

ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.145

猫の心筋症について

 

霜月に入り、紅葉の季節が終わり、山々が雪をかぶるようになってきました。長い冬の到来です。季節の変わり目、体調を崩される方が多いようです。くれぐれもお気を付けください。
さて今回は、猫の心筋症について書きます。生まれた時から、起きている時も、寝ている時も動いてくれている心臓。全身に血液を運んでくれます。血液には様々な栄養分、ホルモン、免疫調整成分、そして酸素などが含まれます。その血液を全身にくまなく送り届けてくれるポンプ役の心臓。物事の中心となる領域を「心臓部」といいますが、心臓はとても重要な器官です。そんな心臓でも病気になります。そして動物によって、多い心臓病の種類が違います。人は心筋梗塞、犬は僧帽弁閉鎖不全症そして猫は心筋症が多いです。実に猫の心臓病の約98%が心筋症です。その有病率は猫全体の約13%と言われています。ちなみに人は0.2%だそうです。

猫の心筋症とは、心臓の機能不全を引き起こす心筋疾患です。猫の心筋症の主な臨床徴候は、元気がない、食欲不振、咳、息が苦しそう、お腹が膨らむ(腹水)、後肢麻痺などですが、一番多いのは「無症状」です。つまり突然発症する病気だと思われています。心筋症はその原因がわかっていない原発性(特発性)のもの数種類(肥大型・拡張型・拘束型等)と二次性(甲状腺機能亢進症、腎不全、全身高血圧症、末端肥大症など)に分類されます。原発性の主なタイプの特徴を少し書いておきます。

(1)肥大型心筋症
左心室の筋肉が肥大することで心室容量が減少し、1回の収縮で送り出す血液量が減ってしまう病態を言います。心筋症の約6〜7割を占めます。6〜10歳くらいの短毛のオス猫に発症しやすいと言われていますが、原因はよくわかっていません。また、アメリカンショートヘア、ペルシャ、メインクーンにおいては遺伝が関係していると考えられています。急性の呼吸困難、血栓が動脈に詰まる塞栓症で来院される場合が多いです。迅速な診断と治療を行わないと死亡する場合もあります。

(2)拡張型心筋症
心筋が細く伸びてしまい、左心房と左心室の壁が薄くなって収縮力が低下し、十分な血液を送り出せなくなってしまった病態を言います。心筋症の約1〜2割を占めます。血流不足から低体温や脱水症状といった症状を見せることもあります。原因としては、必須アミノ酸の一種であるタウリンの摂取不足が考えられています。現在ではペットフードにタウリンが配合されるようになり、発症率が劇的に低下しました。しかしタウリンが十分であるにもかかわらず発症するケースもあり、そういう場合は「特発性」といわれています。なお遺伝的にはシャムやアビシニアンに発生しやすいと言われています。

(3)拘束型心筋症
心臓内部を覆う線維質の膜が肥厚し、心臓の壁が固くなってうまく伸縮しなくなった病態を言います。原因はよく分かっていませんが、10〜12歳くらいの老齢猫に多く発症し、心筋炎が何らかの関わりを持っているとも言われています。

普段から猫をよく観察して、前述のような症状が出たり、後ろ足をひきずっていたら、足の裏が冷たくないかチェックしてみてください。血栓症かもしれません。この病気は発症してから1日から3日で急変することがあります。早期発見・早期治療を心がけましょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2016年11月号掲載

前へ   次へ