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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.141

犬のフィラリア症の予防について

〜数年前と変わったこと〜

北海道に短い夏が到来しました。天気のいい日は動物たちと出かけるのも良いですね。ただし、車の中での放置はやめていただき、細かい水分補給、休憩がとれるような余裕を持ったスケジュールを組んでおきたいですね。

犬のフィラリア症ってご存知でしょうか。「蚊からうつる心臓の病気だよ」と言えば、聞いたことがあるかもしれません。フィラリア症はいくつかの条件がそろって、感染のサイクルが回っていきます。まずフィラリアに感染した犬がいることです。この管内の過去の2回の調査結果によりますと0〜1%の感染率でした。また、本州から来た犬から何頭か感染が確認されています。決して高い感染率ではありませんが、ゼロではありません。そして最近の動物愛護の考えから大きく変わったことがあり、すこし心配しています。

ペットの殺処分をゼロにしようという取り組みが全国的に展開されています。国をはじめ各自治体など行政はたくさんの努力をされていますが、様々なNPOやボランティアの皆さんの活動が大きな貢献をしております。動物たちの、終生飼養や望まない子犬や子ネコの出産を避けるための避妊・去勢手術の啓蒙・普及を推進していただいたり、保護された犬猫を新しい飼主さんのもとへ譲渡する活動も盛んに行なっていただいています。成果も表れています。全国的には10年前に比べますと約4分の1に減り、神奈川県では3年連続で犬の処分はゼロ、猫もほぼゼロになりました。すばらしいことだと思いますし、今後も続いてほしいと思います。また、インターネットを通じて情報が提供され、保健所で保護された動物たちや大災害で被災し飼うことができなくなった動物たちが、道内だけでなく、全国規模で新しい飼主のもとへ移動するようになっています。新しい環境で動物たちが幸せに暮らしていけることはすばらしいことです。しかし、獣医医療の観点から心配となることがあります。ある保護施設に収容された犬の約4割にフィラリアが感染していました。移動する全ての犬たちが検査・駆除されていれば心配はありませんが、なかなか完璧とは言えません。また、自然豊かな北海道への犬同伴ツアーも企画されています。危機感をあおるつもりはありませんが、感染がひろがるのではないかと思っています。

感染した犬の血を吸った蚊の体内で、フィラリアの子虫は次の犬に感染する力を持つまで成長します。その条件としてある一定以上の気温が必要です。この管内ではその条件を満たしています。温暖化と言われて久しくなりますが、平年に比べてここ数年の気温の上昇はあきらかになってきています。感染のサイクルが回るもう一つの条件は、低い予防率です。確実に予防されている方は増えていますが、まだ十分ではないと思っています。7月を迎え、予防のシーズンになりました。予防されるかどうかは飼主さんの判断ですが、迷われている方はお近くの動物病院に相談されるのが良いかと思います。短い夏、おおいに楽しみましょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2016年7月号掲載

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