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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.138

社会には、飼い主のいない居場所を失った保護犬・保護猫たちが
存在することを知っていますか?

〜不幸な動物たちを減らすために〜

4月は新入社員や新入生が入ってきて、職場も学校もフレッシュな風が流れていることでしょう。早くあたらしい環境に慣れて欲しいものです。

今回は、私たちヒトが生活する中では、なかなか眼に触れない動物たちのことを書こうと思います。東日本大震災から5年。多くの方々が被災し、今も復興半ばです。また、数多くの動物たちも被災し、飼主さんから離ればなれになりました。獣医師会を中心に各地でシェルターを作り、ボランティアと共に運営し、飼主さんが見つからない場合は動物たちの養子縁組みを全国規模で行ってきました。こういった流れは阪神淡路大震災や、北海道で言えば有珠山噴火の動物救援活動から始まったのではないでしょうか。災害が起こるたびに多くの経験をし、志ある多く人材が輩出されました。そして昨今の動物愛護精神の高揚から行政機関、公益法人、さまざまなNPOが動物保護施設を作り、保護活動と養子縁組を行っています。一方、景気の停滞や管理者の健康上の理由などで、廃業するブリーダーもここ数年多くなっています。飼育していた何十頭もの動物たちが路頭に迷ってしまいます。我が国では、動物たちを救う法的、社会的な対策が十分に確立されてはいません。保護されたイヌやネコは、各方面のさまざまな努力のおかげで、その処分の数はかなり減ってきました。しかし、残念ながらまだ約8割が殺処分されているという重い現実があります。この現実をどう考えますか?ヒトとイヌ・ネコの関係は何千年もの歴史があり、お互いに支え合いながら、お互いに求め合いながら(さまざまな認識はありますが)生活してきました。ヒトと共に生活したいと思っているイヌ・ネコにふたたび笑顔がもどることに取組んでいる最近の事例を紹介します。

鳥取県にある公益財団法人動物臨床医学研究所の動物愛護活動を行うための施設「人と動物の未来センター・アミティエ」、アミティエとはフランス語で友情という意味だそうです。福島県の被災したイヌ、ネコを受入れることから始まり、現在は鳥取県とも連携し、保健所で処分される運命のイヌやネコを引き取り、獣医師による健康診断、治療。欧米なみの飼育施設や約4800坪のドッグランなどで馴化。毎月お祭りのようなアミティエフェスタを行い、動物愛護の普及啓発活動、譲渡会を行っております。そしてほぼ毎日情報が発信されています。

ペット業界の企業も動いています。「里親マッチングサイト Veterinary Adoption (獣医師が関与する養子縁組み)」です。決して多くはないのですが、動物病院にも保護されたイヌ、ネコが持ち込まれる場合があります。各方面への連絡、病院内ポスターなどで新しい飼主さんを捜すのですが、なかなか見つからないことがあります。このサイトは全国の動物病院に保護されているイヌ・ネコたちを動物病院が実際の出会いの場となり、新しい家族へ譲渡されるという手助けをしてくれます。

常に人類の友であり続けるイヌ、ネコ。今も私たちに幸せを与え続けてくれています。殺処分ゼロを目的としたさまざまな活動。私たちも出来る範囲で取組んで行こうと思います。

年度はじめから、重い話題になってしまいました。申し訳ありません。暖かくなってきたら動物たちと散歩に出かけましょう。その際、マダニには気をつけてくださいね。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2016年4月号掲載

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