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ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.136

動物との絆から育まれる子供の共感力

 

昨年に引き続き、オホーツク・根釧地方に暴風雪を運ぶ爆弾低気圧。各地に被害をもたらしましたが、皆さんのところは大丈夫だったでしょうか。なかなか出かけられず運動不足になる犬たちもいるかと思いますが、その分室内で遊んであげて下さい。

正月に東京のとある動物病院に行く機会がありました。その病院は開業50年以上で、約30年前から動物医療を通して社会に貢献する活動として、人と動物とのふれあい活動(CAPP)を実践されてきました。その活動の一つである子供たちと犬との「ふれあい授業」を取り上げた小冊子をいただきましたので、少し紹介させて頂きます。

グラコムで2008年にも少し書きましたが、動物、特に伴侶動物と子供たちの心の発達について加筆しようと思います。この年の9月15日にリーマンショックが起き、世界的金融危機から景気が大幅に後退しました。ペットの飼育頭数も減少し、今も続いています。ペットブームが去ったわけです。一方、人と動物の絆(ヒューマン・アニマル・ボンド)に基づいた動物医療、人の福祉、子供たちの教育についての研究が地道に続けられてきました。伴侶動物たちは私たち人間と共に生きるように改良されてきました。お互いに支え合い、慈しみ、喜怒哀楽をともに分け合う存在になりつつあると感じます。

なぜ今、子供たちにとって動物とのかかわりが大切になってきているのでしょう。近年、児童生徒の暴力行為、いじめが増加の一途を辿っています。また、いわゆる引きこもりも増えています。住宅環境、生活環境、家族構成も変わり、子供たちが自然や動物にふれる機会は、どんどん少なくなってきています。私たち人間は太古の昔から、自然の中でさまざまな動物とふれあうことで人としての感性を養ってきましたが、その機会が失われてきているのです。また、子供たちは大変忙しくなってきて、子供らしい身体をぶつけ合うような遊びなどができなくなってきています。さまざまなゲームが遊びのメインとなっています。「肌のあたたかさ」が伝わらない遊びが多くなり、「命」が軽々しく扱われ、仮想の「戦い」がくりひろげられ、「勝つ」ことが目的となり、負けたり、死んだら簡単に「リセットボタン」。ある調査によると15〜20%の児童が「一度死んでもリセットボタンで帰って来る」と答えています。とてもショックな結果で危機感を抱かずにいられません。このような環境の変化の中、子供たちの生活の中に、自分以外の他者をケアする機会はなかなかありませんが、動物たちが相手なら、自分がケアする側に立つことができます。動物とのかかわりの中でどのようなことが育まれると言われているでしょうか。@自分とは異なる生き物の行動を理解しようとすることで、他者への共感力やコミュニケーション能力を磨くとことができる。A動物をケアすることによって、自分より弱いものを思いやる心が育まれる。B好きな動物がいるということをきっかけとして、苦手だったこと、関心がなかったことにも前向きに取組むきっかけが得られる。Cペットがいるだけで、家族や地域の人たちと会話ができ、自然に笑顔が増え、穏やかな心が育まれると言われています。

全世帯の中で動物を飼っていないのは約8割と言われているなかで、小学校まで出かけ、「ふれあい授業」を続けて、子供たちの心の育成に寄与されてこられたこと、頭が下がる思いです。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2016年2月号掲載

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