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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.133

イヌの糖尿病について

〜いくら食べても痩せてくることも…〜

ストーブにお世話になる季節になりました。先月の低気圧と台風の影響で、収穫前の作物が被害に遭ったところも多いと聞きます。被害に遭われた方々へお見舞い申し上げます。

今回はイヌの糖尿病について書きます。飼育環境とか食事の改善によって、長生きするイヌたちが増えています。喜ばしいことですが、一方では食事の与え過ぎであるとか、運動不足で肥満になってきているイヌたちが増えているようです。肥満が引き金になる病気の一つに糖尿病があります。日本のイヌの糖尿病の発生率は、だいたい200頭に1頭の割合です。日本人の糖尿病患者は1,000万人を越えていますので、糖尿病について多くの方がご存知だと思いますが、少しだけ説明します。体中の細胞は、活動するのに糖が必要です。インスリンはこの糖を細胞内に取り込むのに必要なホルモンです。糖尿病はこのインスリンが不足したり、効かなくなっておこる病気です。そのため細胞内に糖が吸収できなくなり、細胞の正常な活動が出来なくなります。また、血液中の血糖値が上昇し、血液がドロドロして浸透圧が上がり、組織を直接障害し、様々な症状を出すようになります。また、生体は糖分の代わりに脂肪を代謝エネルギーとして利用するようになります。脂肪を利用するようになると、身体にとって毒性の強いケトン体が増加してきます。こうなると生命にかかわる病態に発展します。

糖尿病には2つのタイプがあります。ひとつは「1型糖尿病」といわれ、外からインスリンを注射によって補給する必要のあるタイプです。もうひとつは「2型糖尿病」で、インスリンの補給を必要としないタイプです。人間の場合、一般的に2型糖尿病がほとんどです。しかし、犬の糖尿病はほとんどが1型、すなわちインスリンの補給を必要とする糖尿病です。原因はよくわかっていませんが、遺伝的要因や肥満、感染、免疫介在性膵炎など、複数の要因が重なって起こると考えられています。症状は水を飲む量が多くなる、尿の量や回数が多くなる、食欲が増える、いくら食べても痩せてくるなどなどです。悪化すると、血液中のケトン体という有害な物質が増加して「糖尿病性ケトアシドーシス」という状態になり、吐く(嘔吐)、食欲の低下や元気の消失などの症状がみられ、さらに進行すると昏睡状態になり、命に関わることもあります。合併症も多く、急に進行する白内障や慢性的な細菌感染による再発性皮膚炎、膀胱炎などです。メスでは子宮蓄膿症を起こすこともあります。ケトアシドーシスまで進行すると運動失調や虚脱、心筋梗塞、腎疾患などの合併症が出ることもあります。

イヌの糖尿病の治療にはほぼ100%インスリンの投与が必要です。治療初期の段階ではインスリンの投与量が安定しませんので、反応を見ながら適切な量を決めていきます。同時に食事療法も進めていきますので、詳しくは獣医師に相談しながら治療をおこなってください。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2015年11月号掲載

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