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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.112

発熱について

 

2月に入り、今年も流氷の季節がやってきました。1年中で最も寒い時期ではありますが、とても綺麗な季節だと思います。雪の結晶、氷柱、霧氷、ダイヤモンドダスト、本当に綺麗です。また、この時期はインフルエンザ流行と重なり、熱を出して病院にいかれる方も多いのではないでしょうか

今回は発熱について書きます。犬や猫の平熱は37.8〜39.0℃(直腸温)で、これ以上の高体温の状態を発熱と言います。発熱は一種の防御反応で細菌やウィルスの増殖をおさえる働きも果たしています。しかし、原因は感染症だけではありません。免疫介在性疾患、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症、白血病、腫瘍、免疫不全症、中毒、熱中症、短頭種の換気不全など様々な疾患で発生します。また、39.7℃以上の発熱が14日間に4回以上生じ、原因不明の病気の状態を不明熱とも呼んでいます。犬や猫は被毛に覆われ体表には汗腺がほとんどなく(足の裏のみ汗腺があります)、体温調整はほとんど呼吸による空気の出し入れで行っています。呼吸だけでなく汗をかいて体温調整するヒトに比べると犬や猫は発熱に弱いと言えるでしょう。発熱状態を元に戻そうと呼吸回数が多くなりますが、それと同時に体内の水分も失われます。長く続くと脱水状態にもなります。血液が濃くなり、血液の流れが悪くなり、組織が酸欠状態になって、多臓器不全、ショック状態になって死亡する場合もあります。発熱の原因は前述のごとく多岐にわたるので、原因を追求するのに大切なことがあります。それは飼主さんからのお話です。症状の発生時期、薬物投与の有無とその時期、ワクチン歴、生活環境(屋外・屋内、散歩の状況)、ほかの犬猫との接触の有無など手がかりになる情報があります。動物病院では身体検査から始まり、血液検査、尿検査、画像診断(レントゲンやエコー)などを駆使して原因追及を行っていきます。治療は、発熱自体を抑える治療と、発熱の原因を抑える治療を行います。発熱を抑える治療としては冷却や輸液療法、解熱剤を使用しますが、解熱剤はむやみに使用してはいけません。体の防御反応から発熱している場合もあるので、症状が重篤(体温40℃以上)になって初めて考える対処方法です。感染症や白血病、免疫不全などが疑われる場合、抗生物質を使用します。ショックや免疫介在性疾患などではステロイドなどの免疫抑制剤を使用します。原因を追求し改善する治療をしていきます

このように発熱は重い病気が関わってくる可能性があります。日頃より犬や猫の体温を把握しておいた方が良いでしょう。動物病院でやるように直腸温を測るのが理想ですが、家ではなかなか難しいと思います。外気の温度にあまり左右されない内股であるとか、耳の奥の温度を指で感じておくことが一番簡単にできることだと思いますので、スキンシップをしながら平熱(?)を知っておくことが大切です。もしも直腸温を調べたい方はペット用に市販の体温計を用意して、先をラップで被い、直腸に約3cmほど入れて測ってみてください。ペットが嫌がらないのであれば意外と簡単です。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2014年2月号掲載

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