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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.110

被災地福島県の被災動物の現状

 

師走を迎えましたね。今年はどんな年だったでしょうか。今年は各地とも春の訪れが遅く、その影響が秋の収穫を左右しているようです。また、近海の温度上昇によって、魚種も漁獲量も変化してます。第1次産業を基盤としている北海道にとっては影響が大きく、今後も心配です。また、TPP交渉参加が決まり、新たな国際的ルール作りが今まさに進行しています。気候変動だけでなく、人為的変動も大きく北海道経済に影響を及ぼします。獣医療人ではありますが、これらの変化をキャッチし、いろんな職場で働いている飼主さんのおかれている状況を理解していくことも私達動物病院スタッフにも求められているのではないでしょうか。

さて、3.11東日本大震災から2年9ヶ月が過ぎました。この震災ではヒトだけでなく、多くのペットたちも被災しました。岩手県、宮城県では動物救護センターは無事閉鎖することができましたが、福島県においては未だに解決のできない状況にあります。

先月、札幌で北海道小動物獣医師会年次大会がありました。その中で「被災地福島県の動物病院と被災動物の現状」と題しまして、パネル展と募金活動を行いました。福島県獣医師会と連絡をとり、動物の救援活動の中心となっている獣医師の協力をいただき、パネル展が実現できました。その時のやりとりを交えてご紹介したいと思います。動物病院も約20軒が県内外へ移転をよぎなくされ再出発したり、産業動物相手の動物病院は廃業されています。また、開業を継続されているところも、人口減少や勤務獣医師の退職などで震災前よりきびしい現状にあるようです。被災した動物たちは、震災当時警戒区域内に取り残されました。取り残された動物たちは自然繁殖して、猫やイノブタ(イノシシと豚の間の子)が増え、ヒトがいなくなったことからネズミやアライグマも増えているそうです。そのうち犬や猫は、福島県動物救護本部が運営する三春シェルターに収容されています。運良く飼主さんが見つかった動物たちもいます。飼主さんが見つからない場合は、新しい飼主さんを探し譲渡しています。餌を与え、世話をし、馴致を地道に行っています。しかし現在犬が30匹、猫が120匹収容されています。新しい飼主さんが見つからなければ、シェルターの閉鎖まではたどりつけない状況です。また環境省と福島県、獣医師会、郡山市、いわき市、動物愛護ボランティア会とで運営しているようですが、行政は撤退する方向で進めているようです。一頭でも新しい飼主さんの元に行ってほしいと切に願うばかりです。

福島県の被災者は、原発問題が収束しないかぎり、これから先の見通しがつきにくく、ペットを飼いたくても飼えない状態は続くでしょう。新しい年には少しでも良い方向に進むことを願っています。詳しい情報は「福島県動物救護本部」を検索してみてください。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2013年12月号掲載

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