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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.109

耳の病気について

〜原因は耳だけとは限りません〜

11月霜月。めっきり寒くなってきました。季節の変わり目はヒトも動物も体調を崩しやすいので気をつけたいものです。

先月、耳だけのセミナーを聞いてきました。5時間のセミナーでしたが、まだまだ時間が足りないという感じでした。数年前から獣医耳科研究会もでき、学会でも特集が組まれるようになっています。私の病院でも、外来の約1割が耳に関する病気で来られます。その多くは「外耳炎」です。ヒトの事はわかりませんが、耳の病気にかかる割合は高いと思います。なかでも、いわゆる「垂れ耳」の犬種はとてもなりやすいです。犬たちは目的を持って改良されてきました。これらの犬種は臭覚を使って狩りをする犬種です。臭いをより多く嗅ぎ分けるため耳が垂れています。そのせいもあり耳の中の風通しも悪く、いつも湿った状態になります。また、先月お話しした短頭種も外耳炎が多い犬種です。短頭種は特に大きな仕事をするわけでなく、伴侶や楽しみを与えるために改良されました。あの短い頭に、長い顔の犬種と同じ器官が配置されますので、口や鼻と同様に耳にも皺ができ、もともと耳道が狭くなっています。やはり湿気が取れず、あぶらが溜まりやすく、細菌類も増えやすくなります。このようにヒトにより改良された動物ですので、ヒトと比べて外耳炎の割合は多いと思います。

また、これはヒトと同じかもしれませんが、最近ではアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが犬の間でも多くなってきています。これらの病気をもっている犬の8割以上が、同時に耳に病変があると報告されました。外耳炎だけでなく、耳道が肥厚し、奥が全く見えなくなってしまうパターンもかなりあります。こういう犬たちは、耳の炎症だけ治療しても反応しません。約4〜5割が食物アレルギーと言われていますので、しつこい外耳炎や重度の外耳炎の場合、アレルギーの原因となるものを除去した食事(除去食)をまず2ヶ月ぐらい続けてみることをお勧めします。食事を変えるだけで約半分が改善されるならいいと思いませんか?また、耳道内に細菌や酵母菌であるマラセチアが増殖してしている場合がほとんどですので、こちらのコントロールも必ず怠ってはいけません。様々な洗浄液や耳垢を溶かす液がありますので、獣医師の指示に従ってお家でもケアしてください。その場合も綿棒は使わない方が良いと言われています。かえって耳を傷つけると言われています。しかし、奥の耳の穴が見えないような場合は、獣医師による洗浄が必要です。とても痛がりますので、麻酔をしてしっかり奥まで洗浄していきます。そこまでしないと感染のコントロールができないためです。

その他、全身疾患が耳に症状を出す病気は、免疫病、遺伝疾患、内分泌病、寄生虫病などがあります。耳の病気といえども耳だけみてもわからない場合があります。

ちょっと難しい話もしましたが、耳に入っていきましたか?

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2013年11月号掲載

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